御朱印帳の製作体験や工場見学のプログラムを大正時代創業の紙加工業、西川紙業(京都市南区)がつくり、提供を始めた。和紙を蛇腹状にする工程などには熟練の技が必要といい、職人による繊細な手仕事を広く伝える。本社内に専用の体験工房を開設し、国内外の観光客や工芸ファンの集客を目指す。
同社は100年近くにわたって色紙やびょうぶなどの紙加工を手がけている。約10年前からは御朱印帳のOEM(相手先ブランドによる生産)が好調だったが、新型コロナウイルス禍で販売が一時激減したのをきっかけに、新事業としてプログラムを企画した。
今年6月、体験工房と紙製品の店舗を本社に開設した。工房では、職人が2時間かけて本格的に指導する「弟子入りコース」(1人1万2千円)や御朱印帳製作と工場見学のコース(5500円)などを提供する。参加者はデザインを自由に選び、独自の御朱印帳を作ることができる。
紙加工は手作業に頼る部分が多く、技術継承が課題になっている。御朱印帳づくりでも和紙を蛇腹状にする作業ができる職人は少なく、のりの配合などにコツがあるという。
企画した西川佐織社長は「京都の本物の文化に触れられる新たな観光地にして、多くの人に見ていただくことで職人のモチベーション向上にもつなげたい」と話し、訪日観光客の誘致やホテルとの連携にも意欲を示す。要予約。同社075(661)5591