「襲われてもおかしくなかった」 クマが奥日光の宿泊施設に網戸破り侵入、徘徊

宿泊施設内の通路を歩くクマ。防犯カメラ映像に映っていた=20日夜、日光市中宮祠(経営者の男性提供)

 栃木県日光市中宮祠の宿泊施設で20日夜、クマ1頭が建物内に侵入する被害があった。防犯カメラ映像には20分ほど、クマが室内を徘徊(はいかい)する様子が映っていた。宿泊客らにけが人はいなかったが、網戸などが壊された。市によると、クマが建物内に侵入するケースは珍しく、注意を呼びかけている。

 被害があったのは、奥日光の観光名所「竜頭の滝」近くの「竜頭の滝リバーサイド渓」。経営する男性(55)によると、クマは体長約1メートルの1頭。20日午後9時15分ごろ、玄関脇にある出窓の網戸を破って侵入した。防犯カメラ映像にはクマが玄関や通路を歩いたり、物色したりする様子が映っていた。

 当時、施設には宿泊客や従業員ら約10人がいたが、クマと遭遇した人はいなかった。網戸や備品室の戸の一部などを壊された。

 周辺は毎年クマが出没する地域。経営する男性によると、今年は春先から施設付近を含め、同一とみられるクマが度々目撃されている。ただ、建物内に侵入されたのは初めてで、市に被害を報告した。男性は「今回は誰かが襲われてもおかしくなかっただけに、何とかしてほしい」と話す。

 市の担当者は「クマはにおいに敏感な生き物。食べ物やごみなどのにおいが漏れないような対策が重要になる」と指摘。「観光客には奥日光にはクマがすんでいることを理解した上で、気を付けながら楽しんでほしい。見つけても近づかないで」としている。

宿泊施設の玄関で防犯カメラ映像に映るクマ=20日夜、日光市中宮祠(経営者の男性提供)
破壊された扉の一部。現在は修理して塞いでいる=22日午後、日光市中宮祠

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