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「向かってくる電車が見えた」「無我夢中で助けてました」-。急病で線路上に倒れて意識を失った男性を協力して救出したとして、兵庫県警芦屋署は21日、会社員の宮本久喜三さん(58)、芦屋学園高校3年の内山凌太さん(17)と厚地真之介さん(17)、2年の佐藤悠大さん(16)に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。(村上貴浩)
8月7日午後1時半ごろ、阪神電鉄芦屋駅のホーム。神戸・三宮の職場に行くため、スマートフォンを見ながら電車を待っていた宮本さんは突然、「ドン」という大きな音を聞いた。「目を上げたら青年が線路に倒れていた」
向かい側の大阪方面行きのホームから男性(17)が線路上に転落し、意識を失っていた。宮本さんはとっさに飛び降り、男性を抱えた。しかし、意識を失っていたためか、1人では動かせないほど重かった。
厚地さんも男性が倒れるのを見ており、急いで線路上に降りて宮本さんを手伝った。当時、大阪方面行きの電車が目視できる距離まで迫っており、電車到着を知らせるアナウンスも流れていた。
内山さんは近くにあった非常ボタンを発見し「まだ誰も押してないんじゃないか」と冷静に押した。ブザーの大きな音で佐藤さんも状況を知った。宮本さんと厚地さんが男性を下から押し上げ、内山さんと佐藤さんがホームに引き上げた。
生徒3人は意識が戻るように男性の体を軽くたたきながら声をかけ続けた。男性は少しずつ意識を取り戻し、到着した救急隊が病院に搬送した。男性は大きなけがを負うこともなく、一命を取り留めたという。
スポーツドリンクの購入などで機転を利かした生徒たちについて「とても勇敢だったし、冷静だった」と宮本さん。厚地さんは「とにかく無我夢中で、電車が来ていたことも気付きませんでした」と振り返り、佐藤さんは「電車での人身事故はよく耳にしていたが、目の当たりにした時に命を救えて良かった」と話した。