カボスとスダチ、実れライバル共闘 首都圏販促で大分県と徳島県タッグ【大分県】

カボスとスダチの全国生産量

 【東京支社】大分特産のカボスと徳島特産のスダチを首都圏で売り込もうと、両県が協力して販売促進活動を進めることになった。料理の風味を引き立てる「香酸(こうさん)かんきつ」の仲間ではレモンやユズが幅を利かせており、知名度の向上が共通の課題だった。長年のライバルとの共闘で、大消費地での需要増につなげたい考えだ。

 両県は17~19日の3日間、初の共同イベントをJR新宿駅近くの農業情報発信施設「JA東京アグリパーク」で開いた。

 カボス、スダチの果実や加工品の販売、果汁飲み比べコーナーを設けた。鶏料理をセットにした弁当は人気を集めた。マスコットキャラクターの「カボたん」と「すだちくん」が仲良くPRに当たった。

 大分県東京事務所の吉田英徳(ひでのり)おんせん県おおいた課長(52)は「客も多く、商品が次々と売れた。手応えを感じた」と語った。

 タッグを組んだきっかけは昨年度だった。行政や農協などでつくる大分県カボス振興協議会が、徳島県の貯蔵や栽培の技術を学ぶために現地を視察した。徳島側も「同じ課題を抱える大分と連携したい」との考えがあり、今春から具体的な協議をしてきた。

 両県によると、カボスは実が大きくて酸味がまろやか。スダチは実が小さく、爽やかな酸味が特徴だ。色や形が似ていて、食材に果汁を搾るといった使い方が同じではあるものの、古くから東京市場をターゲットとしてきたスダチの方が浸透している。

 大分県も都内の老舗果物専門店やスーパーでイベントを開くなどアピールを続けてきた。それでも2020年の首都圏での出荷量(農協分)はカボスの108トンに対し、スダチは3倍近い310トンだった。

 徳島県東京本部の担当者は「レモンなどに比べれば、カボスもスダチもまだまだ知られていない。互いにファンを広げ、ウィンウィン(相互利益)の関係になれば」と期待する。

 サッカーJ2大分トリニータと徳島ヴォルティスがレゾナックドーム大分(大分市)で対戦する9月16日は、会場で共同の販促イベントを計画する。大分県おおいたブランド推進課は「今後もさまざまな方法で連携を進めたい」と話している。

<メモ>

 2020年のカボスの全国生産量は5968トン、スダチは3846トンだった。それぞれ大分県、徳島県がほとんどを占めている。いずれも生産者の高齢化に加え、用途が限られるなど需要は頭打ち状態。カボスは企業参入もあって栽培面積を維持しているものの、スダチは減少傾向が続いている。

© 有限会社大分合同新聞社