LRT構想30年、ついに26日開業 きっかけは渋滞解消...曲折たどる

鬼怒川に架かる橋を渡るLRT。26日開業に向け全国から注目が集まる=3日午後3時10分、宇都宮市内、ドローンから

 26日に開業する次世代型路面電車(LRT)。きっかけは1993年、当時の渡辺文雄(わたなべふみお)知事が宇都宮市東部の渋滞解消を目的とした新交通システムの導入検討を表明したことにさかのぼる。財政負担や採算性への不安などから、なかなか進展しなかったが、構想30年を経てついに運行初日を迎える。

 転機は2007年。「地域公共交通活性化再生法」が施行され、自治体が軌道などを整備し、民間事業者が車両を借りて運行する「上下分離方式」の導入が特例で認められた。市は13年3月、「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」を策定し、JR宇都宮駅東側区間を優先的に整備することに。同年11月には芳賀町の参画が決まった。

 15年11月には運行を担う第三セクター「宇都宮ライトレール」が設立された。両市町や県内経済界、交通事業者などが出資する。運転士養成は全国の事業者の協力を得た。

 16年9月には国から軌道運送高度化実施計画が認定され、18年3月に工事施行認可を取得。同年5月、起工式が行われた。ただ着工後も開業時期の延期や試運転中の脱線事故など曲折をたどった。

 総事業費は、大規模な地盤改良工事などのため当初見込みの1.5倍増となる684億円。国が半分の342億円を補助し、残りを両市町で分担する。県も83億円を上限に支援する。

 運行ルートは、宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ14.6キロ。大型商業施設「ベルモール」、大学や高校、病院、グリーンスタジアムなど主要施設周辺に19の停留場を設ける。

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