次世代型路面電車(LRT)の26日の開業まで、22日で残り4日となった。国内初の全線新設に多くの注目が集まる中、整備を担った宇都宮市と芳賀町、運行会社宇都宮ライトレールのトップにLRTへの期待や今後の展望などを尋ねた。
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-開業後の宇都宮市の姿をどう描くか。
「LRTは公共交通ネットワーク化の大きな装置。市民が自分の意思と力で移動できるまちの土台が出来上がる。再生可能エネルギー100%で走るため、脱炭素の象徴にもなる。人を呼び込む効果もあり、市が目指す『スーパースマートシティ』の完成に近づく」
-JR宇都宮駅東側の利用動向に関心が集まる。
「利用客の増加だけでなく、LRTが市民生活の利便性向上につながることが使命だ。持続可能なまちづくりを担えるように、装置を成長させていきたい」
-どう育てるか。
「今までは行政の一方的なPRだったが、利用者の実感が広がっていくので、普及啓発に活用したい。公共交通全体のニーズが大きくなれば、バス路線は新設や再分配、地域内交通なら本数や台数を増やす」
-東側の利用が少なければ問題視されるだろう。
「運行会社の経営のためにも、利用客を増やすことは当然だ。ただ『日中はすいている』と言われたとしても、装置として社会に必要で、成長の原動力になっていると理解してもらいたい。採算の物差しだけでなく、社会全体の成長、次世代のためのまちづくりという物差しも知ってほしい」
-安全面はどうか。
「開業後もしっかり取り組む。LRTと並走するドライバー、軌道を横断する歩行者や自転車に向けて、注意喚起を続ける」
-今後は駅西側への延伸計画が本格化する。
「来年中の軌道運送高度化実施計画の申請、2030年代前半の開業を目指す。東側と同様に、ことあるごとに説明し、疑問に答えていく。西側は商店街、企業、大学など利用層が東側と異なる。国や県、警察、交通事業者、自治会など関係機関と調整協議する」
-大通りをLRTが走ることへの懸念もあるが。
「車が大通りを通る必要がないことを丁寧に説明していく。車の交通規制というより、交差点改良、迂回(うかい)路などで整理できるのではないか。東側も道路整備によって通行量分散を図る」