犬はフローリングだと病気やケガをする?注意すべきことと効果的な対策とは

フローリングで犬を飼う場合に注意すべきこと

住宅の床材のうち「フローリング」とは、木材をベースにしたものを指しています。長方形の木材がタイル状に敷き詰められているものがそれですね。洗面所や水回りによくあるクッション性のある床材は、合成樹脂製の「クッションフロア」「フロアタイル」と言います。

フローリングは表面が均一で滑らかなため、メンテナンスのしやすさから選ばれやすい床材です。しかし人間が歩いていてもやや滑るなと思うことも良くありますよね。犬の場合はもっと滑りやすく、四肢を緊張させて踏ん張っている状態になることが多いのです。

常に踏ん張っている状態であることから足腰に過度の負担がかかってしまい、また踏ん張りきれずに滑って転んでしまいケガをすることもあります。また常に大きな負担がかかっている膝や肘、手首、足首といった関節の病気を引き起こすリスクもあります。

更にジャンプしたり、階段やソファから飛び降りたりした際も、滑って転ぶ危険があったり踏ん張る衝撃で関節を痛める危険もあるのです。

このような危険性のあるフローリングの部屋で犬を飼う場合に注意すべきこととして、今回は病気の点から解説いたします。

1.膝蓋骨脱臼

こちらは小型犬に多い病気です。膝のお皿の骨(膝蓋骨)がズレてしまうことから痛みを生じたり、歩き方が左右非対称になったり足を引きずったりするようになります。

ダッシュ&ターンなどの激しい運動を繰り返すことで膝に負担がかかっていたり、ジャンプの着地などで後天的に起こることもあります。

2.椎間板ヘルニア

こちらは人間でも聞き覚えがありますが、背骨のクッションとなる椎間板という組織が圧迫により飛び出し、神経を圧迫することで起こります。胴が長いタイプの犬種や老犬に見られる病気です。

背中を丸めたり抱っこを嫌がったり、ふらふら歩いたりするといった初期症状から、後肢のマヒで立つことも難しくなることもあるようです。背中や腰に過度な負担がかかると引き起こされます。ミニチュアダックスフント、コーギー、ビーグルなどのように椎間板ヘルニアになりやすい犬種は注意が必要です。

3.股関節形成不全

こちらは大型犬に多く見られる病気で、遺伝するといわれています。成長期の骨格の発達と筋肉や脂肪の発達のアンバランスさも原因になるといわれています。横座りが多かったり、腰を大きく振って歩く様子が見られる場合、あるいは階段の上り下りやジャンプを嫌がる場合は受診しましょう。

遺伝的な要因が大きい病気ですが、体重の急激な増加やも原因になると言われています。

フローリングでの効果的な対策とは

前述したような危険を避けるためにも、犬たちの関節には負担がかかりにくくなるような対策をする必要があります。

滑って転んだり、常に踏ん張って足腰に無理な負担をかけたりしないようにすることが大切です。

では、犬をフローリングで滑らせないための効果的な対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

具体的には、犬の爪や足裏の毛を定期的に短く切ったり、滑り止めの靴下などを履かせるのも効果的です。

また、犬の生活スペースに滑り止めのマットやシートを敷いたり、フローリングに滑り止めのワックスを塗るのは人間の足にとっても良い効果が期待できます。

いずれもとにかく犬を滑らせない、滑りにくくするということに注目した対策です。嫌がる犬は多いかもしれませんが、グリップ力が強い滑り止めの靴下や靴を履かせるというのはとても効果的だと思います。

またフローリングのメリットが減りますが、クッションマットや滑り止めシートを床に敷くことも簡単にできる対策のひとつです。お掃除が少し大変になりますが、人間も滑りにくくなるのでお勧めですね。

滑り止めワックスは外観を損ねずに「滑らない」対策ができるのでこちらもお勧めです。市販のものを使って自分で塗ることもできますよ。ただし時間の経過で効果が低下するので、定期的に塗り直しが必要です。

まとめ

フローリングは手入れがしやすい反面、犬にとっては滑りやすく転倒の危険も高い床材です。犬が転倒してけがや病気に繋がったり、滑りやすさに対抗して踏ん張るため関節に負担がかかりやすいということをしっかり考えておくと良いでしょう。

フローリングの床を選ぶ際は、犬が滑って転ぶことが少なくなるよう、マットを敷いたりワックスを使ったりするなど対策をしっかりとってあげましょう。

(獣医師監修:平松育子)

© 株式会社ピーネストジャパン