チームにユニフォームや関連ウェアを提供するサプライヤー。基本的にブランド側とチームは複数年での契約を締結することが多い。
90年代以前は1シーズンのみ契約というケースも現在ほど珍しくなかったが、レプリカユニフォームが完全に商業ベースに乗った2000年代以降は複数年契約が一般的だ。
だが、たった1年で契約終了となるケースも少なからず存在する。ここでは、1年で契約を終えた欧州クラブチームと5つのスポーツブランドをご紹介しよう。
New Balance
ストーク・シティ 2015-16 New Balance ホーム ユニフォーム
ブランド:New Balance(ニューバランス)
契約:2015-16シーズン
実はストークは2年連続でサプライヤー変更を経験している。
2014-15シーズンの新サプライヤーはWarrior Sportsだったが、親会社であるNew Balance(NB)のサッカー市場“再参入”を機に市場から一時撤退が決定。15-16シーズンからはNBがWarriorの契約チームを引き継いでいる。
Warriorとの契約が1年で終わり、続くNBとの契約もわずか1年で終了。16-17シーズンからはMacronとパートナーシップを結ぶ。この流れを見ると、Warrior時代から水面下でMacronとの交渉が進んでいた可能性もある。
Diadora
リーズ・ユナイテッド 2004-05 Diadora ホーム ユニフォーム
ブランド:Diadora(ディアドラ)
契約:2004-05シーズン
90年代後半から2000年代初頭にヤング・リーズでサッカー界に旋風を起こしたリーズ・ユナイテッド。しかしチームの財政事情の悪化とともに勢いは失速し、04-05シーズンは2部に転落する。
00-01~03-04シーズンまで4年間サプライヤーだったNike側に契約延長の意思が無かったと言われており、04-05シーズンは以前から交渉を重ねていたというイタリアのDiadoraがパートナーに就任した。
しかし2005年3月、クラブは英国の名門Admiralとの新契約を発表する。契約終了に至った詳細は不明だが、イタリアの名門ブランドは1年でお役御免となった。
Canterbury
AZアルクマール 2008-09 Canterbury ホーム ユニフォーム
ブランド:Canterbry(カンタベリー)
契約:2008-09シーズン
菅原由勢が所属するオランダのAZアルクマールにも、わずか1年で消えたサプライヤーが存在する。ラグビージャージで有名なCanterburyだ。
AZは2006-08の2シーズンをオランダのスポーツブランドQuickと契約。その後2008年にCanterburyをパートナーに迎えている。このシーズンはルイス・ファン・ハール氏が監督を務め、28年ぶり2度目のエールディビジ優勝を成し遂げた歴史的なシーズンとなった。
しかしCanterburyとはこの1シーズン限りで契約が終了に。その理由は当然不明だが、タイミング的には同ブランドがサッカー界からの撤退を始めた時期と重なる(契約チーム数は08-09シーズンがピークだった)。その後、チームは再びQuickとコンビを組んでいる。
Mizuno
フィオレンティーナ 2001-02 Mizuno ホーム ユニフォーム
ブランド:Mizuno(ミズノ)
契約:2001-02シーズン
フィオレンティーナはなんと3年連続でサプライヤーを変えたことがある。その中の一つは日本の老舗スポーツブランドMizunoだ。
クラブはFilaとの契約が終わると、2000-01シーズンにDiadoraと新たに契約を結ぶ。しかし両者の関係はわずか1年で終わり、01-02シーズンに今度はMizunoと契約する。この01-02シーズンは文字通り激動の1年で、財政破綻でクラブは一旦消滅し存続チームも4部リーグのセリエC2に強制降格となった。
クラブの財政事情が悪化したのは2000年代に入ってからと言われており、それを踏まえるとFila、Diadora、Mizunoの流れも「より契約金の高いブランド」を選び続けた結果だった可能性もある。
ちなみに4部転落のチームに救いの手(?)を差し伸べたのはPumaだったが、こちらも1年で契約終了となった。
Castore
ジェノア 2022-23 Castore ホーム ユニフォーム
ブランド:Castore(カストーレ)
契約:2022-23シーズン
今年起こった衝撃のサプライヤー変更といえるのがジェノアとCastoreの件だ。
英国の新興ブランドとジェノアが複数年に及ぶサプライヤー契約を結んだのは昨年7月だったが、1年と持たずに両者の関係は破綻。ジェノアは今年6月、21-22シーズンまでのパートナーだったKappaとの再契約を発表した。
チームは昨シーズンのセリエBを優勝し昇格を決めている。本来ならCastoreにとっても初のセリエAを戦える記念すべきシーズンとなるはずだったが、それは実現しなかった。
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ジェノアはCastoreに対して当初から不満を持っていたと言われている。とくに目立ったのはアイテムの供給遅れで、適切なタイミングにトレーニングウェアの提供が間に合っていなかったという。また、ジェノアに限らずCastoreの製品に関しては以前より品質面での問題指摘もあり、それが要因となった可能性もある。
複数年契約が1年も経たずに終了とは明らかに異常事態。欧州各国で契約チームが増加中のCastoreだが、今回のジェノアの件はブランドイメージを大きく損なうものとなるだろう。
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