県内少雨迫る水不足 犀川ダム貯水率25%

水位が低下した23日の犀川ダム(石川県提供)

 金沢市の水がめである犀川ダムの貯水率が25%に低下し、渇水の懸念が強まっていることが23日、石川県への取材で分かった。記録的な猛暑と少雨が続くためで、県は24日、関係機関と対策を協議する連絡会を5年ぶりに開くことを決めた。県によると、すぐさま生活に支障をきたす状況ではないものの、加賀市のナシ産地で貯水タンクの水位が下がるなど農業への影響も出ており、水不足の不安が高まっている。

 気象庁によると、8月の金沢の降水量合計値は22日時点で38.5ミリで、1カ月の平年値179.3ミリの約2割にとどまっている。2000年以降では同年の5.5ミリに次いで少量となっている。

 県によると、犀川ダムの貯水率の過去10年平均は56%。30%を割り込んだ場合に、犀川水系渇水調整連絡会を開催することにしており、最終的に22%まで低下した2018年以来、5年ぶりに開くことになった。県や犀川ダム管理事務所、金沢市企業局の担当者らが出席し、ダムの運用状況や水の利用状況、今後の見通しについて協議する。

 一方、国土交通省金沢河川国道事務所が管轄する県内最大の手取川ダムの水位は40%台となっており、「渇水の心配はまだない」(同事務所担当者)。手取川ダムと犀川ダムは同じ白山山系の河川だが、尾根を1本越えた位置にあり、雨雲の威力が弱まる関係で犀川流域は雨が降りにくいとみられる。犀川ダムが渇水しても、手取川ダムからの水の供給が受けられるため、飲み水など生活に影響が出る懸念は少ないという。

 一方、農業関係者は酷暑と少雨に悩ましげだ。

 県内最大のナシ産地である加賀市奥谷(おくのや)町では、幸水の出荷が最盛期を迎える中、散水用の貯水タンクが最大時の4割程度に減少した。5年前の水不足でタンクが空になったことを教訓に、今年は1回当たりの散水量を減らすなどの対応をとっている。奥谷梨生産組合の灰谷信剛組合長(43)は「雨が降らない日がさらに続くと心配だ」と話した。

 羽咋市と宝達志水町の農業用水の水源となっている下石(さがりし)ダム(宝達志水町所司原)の貯水量は現在32トン。満水時の半分以下になった。農家の一人は「枯渇するか心配していた。水があるうちに農作業が終わったので良かった」と話した。

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