慶応高、栃木県出身選手が決勝も躍動 「冷静な」小宅と「熱血漢」加藤はボーイズ同期 鈴木の恩師「教えることなかった」

慶応の優勝をテレビで見届け、拍手で祝う県央宇都宮ボーイズの選手=23日午後、宇都宮市富屋地区市民センター

 23日の全国高校野球選手権大会決勝。慶応(神奈川)の107年ぶり優勝に本県出身の「2年生トリオ」が大きく貢献した。先発した鈴木佳門(すずきかもん)は那珂川町小川中を卒業。鈴木をリリーフし五回以降を無失点に封じた小宅雅己(おやけまさき)は宇都宮市豊郷中、2安打を放った加藤右悟(かとうゆうご)は同市陽西中を出た。小宅、加藤は中学時代、硬式野球クラブの県央宇都宮ボーイズでプレーし、2021年春に全国制覇している。

 この日は同クラブの選手や保護者ら40人が、宇都宮市富屋地区市民センターに集まりテレビ観戦。蜂巣祥万(はちすしょうま)主将(15)は「決勝の舞台でも笑顔ではつらつとプレーしているのが、さすがだと思った」と感心しきり。同クラブ監督で小宅の叔父でもある影山崇(かげやまたかし)さん(52)は「最近まで身近にいた人間が甲子園で優勝。自分も幸せ、感謝ですね」と穏やかに笑った。

 影山さんは2人について「真逆の性格」と話す。「どんな場面でも淡々と落ち着いて、決めるところは決める」のが小宅。当時から安定感と制球力が武器だった。捕手で主将だった加藤は「周囲を巻き込む力のある熱血漢」。生徒会長も務め、慶応からリーダーとしての素質も買われていたという。

 同クラブ出身で2人とともに全国制覇し、自身も今春のセンバツに出場した石橋高野球部2年、入江祥太(いりえしょうた)は「小宅の緊迫した場面での投球、加藤の勝負強い打撃は変わらない」とし「優勝はすごいし、自分も負けてられないと思った」と刺激を受けた様子だった。

 大事な決勝で先発の大役を果たした鈴木。小川中野球部で指導した高橋俊祐(たかはししゅんすけ)さん(38)はテレビで祈りながら見守り「立ち上がりは心配したが、粘り強かった」と、ほっと息をついた。

 当時から180センチ台後半の長身で、中学3年時は本県選抜チームの主力投手として全国大会準優勝に貢献。「マウンド上で教えることはないくらいだった」と懐かしんだ。現在も同校で監督を務める高橋さんは「先輩の姿を見て、今の子たちも誇りに感じたと思う」と話した。

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