放影研 被爆者と2世900組ゲノム解析へ 着手時期は未定、7年程度を要する見込み

(左から)神谷理事長、片峰委員長らによる会見の様子

 日米共同で運営する放射線影響研究所(放影研、長崎市・広島市)は23日、原爆放射線の遺伝的影響を調べるため、被爆者と子(被爆2世)の約900組から提供を受けた生体試料を、ゲノム(全遺伝情報)解析すると明らかにした。着手時期は未定だが、開始から7年程度を要する見込み。諮問機関からは解析結果の公開、非公開を慎重に判断するよう助言が出た。
 解析対象は、遺伝的影響を研究する目的に同意し、1985年から血液などを放影研に提供してきた被爆者と子903組(広島522組、長崎381組)の計約3300人を予定。被爆者と被爆2世の間に起きるDNA配列の変異を調べ、一般的なケースと比べて変異の頻度などに特徴的な差がないかを調べる。
 放影研は23日、被爆者や専門家らでつくる試料利用外部諮問委員会(委員長・片峰茂長崎市立病院機構理事長ら6人)に研究計画を説明した。終了後、片峰委員長が広島市内で会見し、委員から被爆者や被爆2世の高齢化が進む中で「早く結果を出してほしい」との要望があったと紹介。一方、遺伝的影響に関する結果公表について「社会的影響の重大さを考えれば、公開しないことも含め、事前に公開方法についてのマニュアルを検討すべき」との意見が出たという。
 放影研の神谷研二理事長は、着手前に研究目的などを社会に正しく伝える必要があると強調し、結果の公開についても「一番ふさわしい形を検討したい」と述べた。

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