仙台育英監督の名言を“脳内再生” 大出瑞月の高校野球愛

「一番好きなのは吉永健太郎くん」。2011年夏の甲子園優勝投手です(撮影/中野義昌)

◇国内女子◇ニトリレディスゴルフトーナメント 初日(24日)◇小樽CC (北海道)◇6695yd(パー72)◇晴れ(観衆1308人)

「切り替え!切り替え!」――。出だしからチャンスを逃すホールが続いた大出瑞月の脳裏に、前日テレビ越しに聞いたばかりの言葉が流れた。“声”の主は仙台育英高の野球部を指揮する須江航監督だ。

前日に行われた夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)の決勝戦。神奈川・慶應義塾高に敗れた同校が劣勢の中、必死にナインを鼓舞する須江監督が印象的だった。試合後の談話として紹介された「人生は敗者復活戦」の表現力にいっそう胸が熱くなった。「須江監督が好きで仙台育英を応援しているんです。毎回、メチャクチャいいこと言うんですよ。きょうも『切り替え!切り替え!』って叫んでるのを思い出しながらプレーしてました」と笑う。

昨夏の甲子園では東北勢初優勝を成し遂げた仙台育英。「青春って、すごく密なので」の名台詞が流行語大賞で選考委員特別賞となったが、大出は須江さんが同校監督に就任した2018年からファンだったという。自らもかつてはソフトボールで二塁手としてプレー。「NEC軽井沢72」のトーナメント期間中にテレビで見てハマった高校野球への思いは「プロ野球は全然見ないけど、高校野球は好き。甲子園、それも夏だけ」。期間限定で一気に燃え上がるのだとか。

後半は5連続バーディも奪って「66」(撮影/中野義昌)

この日は序盤のもどかしい展開にも気持ちを切らさず、徐々に加速。6Iの「ミスショット」が4mほどに絡んだ後半12番(パー3)からは一気に5連続バーディを奪った。唯一のボギーとなった最終18番の3パットに「最悪でした。ファーストパット、スライスかと思ったら『フックやん!』って」と苦笑交じりに口をとがらせるものの、6アンダー「66」は午前組最上位でのホールアウトとなった。

絶好のスタートにも、「(あしたは)こんなに出ないと思うんで。須江監督を思い出して、『切り替え!切り替え!』って」とニヤリ。良い時も悪い時も万能な魔法のフレーズが、初優勝を目指す25歳を導く。(北海道小樽市/亀山泰宏)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン