福井県にも爆破や殺害予告380カ所以上…学校や企業、飲食店、個人の家にも 警視庁、「恒心教」共鳴の男2人逮捕

 東京音楽大学に1月、爆破を予告するファクスを送信したとして、警視庁捜査1課は8月23日までに、威力業務妨害容疑で埼玉県草加市の無職の男(26)と東京都小金井市の東京農工大学大学院生の男(22)を逮捕した。1~5月、全国の学校や自治体、企業などに爆破や殺害などを予告する同様のファクスが延べ30万件超送信されており、警視庁は2人が関与したとみて調べる。

 捜査1課によると、2人はインターネット上の掲示板で特定の弁護士を攻撃する人の集団とされる「恒心教」に共鳴。無職の男は「高校生の時に恒心教を知った。ファクスでの嫌がらせを自分で考えたので自己顕示欲があった」、大学院生の男は「恒心教を広めたかった。大ごとになれば面白いと思った」と供述している。

 福井県内では、恒心教メンバーの犯行とみられる爆破予告などのファクスが、今年に入り仁愛大学など県内380カ所以上に送られていたことが23日、福井県警への取材で分かった。捜査1課によると、企業や県内飲食店、個人宅にも送られていた。

⇒福井県内の住宅に意識不明の男女、女性は死亡

 仁愛大学には1月23日、「高性能爆弾を334個仕掛けた」などとする内容のファクスが送られてきた。振込先の口座番号や名義として実在の弁護士の氏名が記されていた。

 こうした予告を巡っては同24、25日に、送金しなければ生徒を殺害するといった内容のファクスが県内の高校約30校、中学校約70校に届いた。

恒心教 インターネット上の掲示板で特定の弁護士を攻撃する人の集団とされ、2012年ごろから活動を始めた。宗教団体ではない。組織性はなく、共鳴した個人が行動しているとみられる。名称は特定の弁護士の事務所名が由来で、この弁護士の名前をかたり、匿名化ソフト「Tor(トーア)」などを使って身元を隠し、学校や公的機関などに爆破や殺害予告を繰り返してきた。捜査関係者によると、脅迫の文言に「ンゴ」「ナリ」「334」「40298」などを多用する。予告された側が、施設閉鎖や警備強化などの対応に追われるケースが相次いでいる。

© 株式会社福井新聞社