「1年半経ってもぜんぜん水が出てこない」イチゴ農家も落胆…大井川周辺で井戸枯れ相次ぐ 護岸工事が影響か

大井川の護岸工事が行われていた静岡県島田市神座の複数の井戸で水が枯れる、水量が減るなどの状態が工事の終了から1年以上が経った現在も続いています。住民は国の工事が影響しているのではないかと不安を訴えています。

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乾燥した土に力なく横たわる、枯れた植物。2021年に撮影された映像には、島田市のイチゴ農園の無残な様子が映っていました。

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「2020年から始まった大井川の護岸工事で(地下水の)水位が下がって井戸が枯れました。2年間で約1500万円の被害が出ています」

イチゴ農園があるのは、大井川がすぐそばを流れる島田市の神座地区。この場所で7年前から井戸水を使ってイチゴを育ててきた渡瀬豊さんは、国土交通省が発注した川岸や川底の浸食を防ぐための工事が井戸枯れの原因ではないかと指摘します。

この工事では、川の流れを人工的に変え、一時的に川底を約5メートル低くしました。国土交通省によりますと、川底が低くなることで周囲の地下水はより下に集まると考えられ、実際に工事中は神座地区の井戸30本のうち、半分で水が減ったため、住民らは国土交通省が用意した水道管を使い、水道水で代用していました。

井戸の水は工事が終われば、元に戻る計画でしたが…

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「こちらの井戸、大井川の護岸工事が工事が終わって約1年半経つんですけど、ぜんぜん水が出てこない」

護岸工事は2022年3月に終了しましたが、神座地区では現在も13本の井戸で水が減るなどの状態が続いています。長引く井戸枯れに川の工事は関係しているのか。国土交通省の見解は…

<国土交通省静岡河川事務所 桃木優一副所長>
「神座地区は大井川の流量が減ると井戸が出にくくなる特徴のある地区。そのことからも河川工事が原因か、河川の状況で出にくくなっているのか、原因が分からない」

国土交通省は工事の方法に問題はなかったとしていますが、今後、井戸の利用者に事実関係を確認して対応を考えていくとしています。

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