大門素麺、返礼品早々終了 砺波市ふるさと納税の「けん引役」 今年分、人気で生産追い付かず

砺波市がふるさと納税の返礼品受け付けを中止した大門素麺

  ●体験型など拡充へ

 砺波市は24日までに、市のふるさと納税の返礼品で特産の手延べ素麺(そうめん)「大門素麺」の受け付けを中止した。今年分が品切れになったためで、例年返礼品の上位を占め、ふるさと納税をけん引する主力特産品の早々の離脱は市にとって「大きな痛手」。市は今後、体験型を含めて返礼品を拡充して砺波の魅力を発信し、ふるさと納税の増加につなげたい考えだ。

 大門素麺は江戸後期からの伝統の製法を守り、10月~3月を中心に製造されており、風味や香り、強いコシが好まれ、贈答用として人気が高い。近年は生産者の高齢化や廃業で生産量が減っている上に、今年は新型コロナウイルスの5類移行で人の流れが戻り、春先以降の需要も好調で夏までに在庫が底をつき、市は7月上旬にふるさと納税の返礼品の受け付けを中止した。

 市によると、大門素麺は昨年度の市のふるさと納税2654件のうち、175件と4位で、例年トップ5に入る返礼品。今年も7月末現在で694件のうち129件と18.6%を占めるなど、市のふるさと納税をけん引する特産品だけに、夏野修市長も「大門素麺が品切れになって大変」と受け止める。

 関係者によると、昨年度は10月下旬に在庫がなくなり、初めて受け付けを中止したが、今年はそうめん需要が高まる夏に品切れとなり、ふるさと納税への影響は小さくないという。

 市は、人気を誇るペットボトル「い・ろ・は・す」や地元産のクラフトハイボール、地酒のほか、国史跡・増山城の御朱印付き戦国米や、庄川に遡上(そじょう)してきたアユからふ化させて庄川の伏流水で育てた「生粋の庄川鮎」など砺波の魅力を伝える返礼品を増やしている。

 市はふるさと納税について「体験型もこれから増やしていきたい」(夏野市長)とし、地元の団体や企業と連携しながら返礼品の拡充や、地元出身者でつくる富山県人会や砺波会を通じて協力をさらに求めていく。

 ★大門素麺 1848(嘉永元)年、砺波郡大門村の売薬商人が能登・蛸島で加賀藩の御用素麺の製造方法を教わり、村人に伝えたのが始まりとされる。農閑期の収入源として昭和初期は60軒以上の農家が生産していたが、現在は10軒にとどまる。富山県推奨とやまブランド品として贈答用に人気がある。

© 株式会社北國新聞社