北陸新幹線の福井県敦賀ー新大阪、2024年度も着工見送り 国土交通省が「事項要求」見送った理由とは

 北陸新幹線敦賀―新大阪間の建設促進を図る与党整備委員会は8月24日、国会内で会合を開き、2024年度の認可・着工を見送り、認可後の作業を前倒しで行う調査費を拡充する国土交通省の概算要求を了承した。整備委員長の高木毅・自民党国対委員長は「非常に遺憾だが、大阪まで開業を遅らせないことがわれわれの務め。遅くとも25年度中の着工を求めたい」と述べた。

 国交省が同日発表した概算要求は、敦賀―新大阪間の認可・着工を目指して金額を示さず予算を求める「事項要求」を見送る一方、認可後に行う地質調査や鉄道施設の概略設計などに前倒しで取り組む調査費について、本年度の額から上積みを図る。

 事項要求見送りについて国交省は、認可の前提となる環境影響評価(アセスメント)が、敦賀以西は4段階ある手続きのうち第2段階にとどまっているとし「ほかの整備新幹線のケースでは、残り2段階で1年半程度の期間を要している。敦賀以西でも今後、一定の期間が必要」(幹線鉄道課)と説明。24年度中の認可は難しいとの見通しを示した。

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 敦賀以西を巡っては20年に与党プロジェクトチームが23年度当初の着工を決議。当時の国交相が「重く受け止める」と回答したものの、環境アセスの遅れなどから昨年12月、先送りが決まった。環境アセスは想定より20カ月遅れていると説明されていた。

 高木委員長は会合後、取材に対し「本来は『24年度には必ず』となるが、現状では厳しい。そうした中で大阪開業を遅らせないようにするための知恵として(認可後の事業を前倒しする)調査費を認めざるを得ない」と述べた。

 会合では国交省や鉄道建設・運輸施設整備支援機構が進捗状況を説明。環境アセスについては現地調査がほぼ終わり、予測や評価の段階に入るとした。

 国交省の概算要求の方針について、杉本達治知事は「敦賀―新大阪間の整備事業費が計上されなかったことは誠に遺憾。大阪までの一日も早い全線開業に向け、認可・着工までのスケジュールを早期に示すとともに、開業までの期間を最大限短縮していただきたい」とのコメントを出した。

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