別府大生、杵築市の文化継承を手助け 歴史まちづくり計画、住民から聞き取り開始【大分県】

地域住民から話を聞く別府大生=杵築市大田
田園風景が広がる山村=24日、杵築市大田俣水

 【杵築】国から歴史まちづくり計画(歴史的風致維持向上計画)の認定を受けている杵築市で、別府大文学部民俗学研究室(福西大輔准教授)の学生らが、地域住民から伝統文化の聞き取り調査を始めた。大田地区を皮切りに暮らしぶりなどを記録して、文化の継承を手助けする。

 「歴史的風致」は、地域の歴史と伝統を反映した祭りなどの活動と、建物(主に築50年以上)がつくる良好な環境を指す。計画は2021年に認定された。県内では竹田、大分両市に次いで3市目。価値のある建物の維持保存や、伝統行事の調査で国の補助金や支援が受けやすくなる。観光振興にもつなげる。

 聞き取りは計画の一つ「伝統文化記録調査事業」。民俗学研究室が地域連携活動として実施する。初日の10日は学生と院生の計18人が、大田地区西俣水の生活改善センターで70、80代の男女8人から話を聞いた。同所は33世帯64人(22年6月時点)で農業が中心。

 福西准教授が「生活を知る上で女性の子育てはすごく重要。記憶をたどってください」などとあいさつ。学生らは「生産・生業(なりわい)」や「人生・儀礼」「信仰」について箇条書きにしてまとめた。本年度中に報告書を作成する。9月は同地区の波多方を調査する。

 杵築市教委文化・スポーツ振興課の阿南雅希文化財係主査(40)は「古文書は事務的なもの。まだ調査されていない文化を記録していきたい」と話している。

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