14歳のトイプードル、早朝から鳴いて近所迷惑に…老犬が「夜鳴き」する原因とは【ペットドクター相談室】

3月に14歳になるオスのトイプードルです。2ヶ月前から朝方(2時から4時)に鳴くようになりました。我が家に来てから夜はクレートの中で寝る習慣で、これまでクレートの中で粗相をしたことはありませんでしたが、最近はオシッコをしてしまいます。それが気持ち悪くて鳴くのでしょうか?近所迷惑になるので、私も毎朝早く起きる事になります。昼間はぐっすり寝ているようです。また以前より水を飲む量が増えた様に感じます。加齢によるものですか?【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 山田動物動物病院(福井県福井市)立野祐子獣医師

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 高齢のワンちゃんが朝方(2時から4時)に鳴くようになってお困りのようです。犬の夜鳴きは、飼い主様ご自身の体調にもご負担ですが、ご近所迷惑になる場合もあり、深刻な問題と言えるでしょう。

 老犬の夜鳴きの主な原因には、認知機能不全(にんききのうふぜん)による昼夜逆転現象や不安症状、排尿・排便がしたいなどの生理的欲求および寝床が汚れて寝心地が悪いなどの環境の悪化が考えられます。今回の場合も、寝床であるクレート内での排尿が認められるので、環境の悪化を理由に鳴いている可能性はあると思います。

 また、以前より水を飲む量が増えたように感じるとのことなので、尿量が増えて、朝まで我慢できないのかもしれません。しかし、その対処法として水を飲ませないようにするのは大変危険です。なぜなら、脱水状態になって、犬の体調を悪化させてしまうからです。飲水量が増えた原因を考える必要があります。

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水を飲む量が増える原因は?

 飲水量が増える原因には、単純に気温の上昇や食べ物の塩分が高いなどの生理現象の他に、いくつかの病気の可能性があります。代表的なものに、糖尿病(とうにょうびょう)や副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)などの内分泌疾患、慢性腎臓病および子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)(未避妊の雌)などの感染症です。

 これらの病気は動物病院で適切な検査(血液検査・超音波検査・尿検査など)をすることで診断できます。治療は簡単でない場合もありますが、飲水量のコントロールには役立つと思われます。

 老犬になるといろいろ問題がでてきますが、すべてを加齢のためとしてしまうと見逃してしまう病気があるかもしれません。病気によっては治療が困難なものがあるのは事実ですが、症状の改善に役立つ方法が見つかる場合もあります。お困りのことがありましたら、まずはお近くの動物病院にご相談ください。

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