参勤交代ルート走破 加賀の73歳北野さん 金沢から東京へ500キロ

加賀藩の参勤交代ルートをたどって日本橋に到着した北野さん=都内(北野さん提供)

  ●8日間猛暑、台風乗り越え

 加賀藩の参勤交代ルートを自転車でたどる旅に挑戦している加賀市高塚町の北野長俊さん(73)が24日、目的地の東京・桜田門に到着した。旧盆に石川を出発してから8日。連日の猛暑に加え、台風の影響で一部迂回(うかい)を余儀なくされながらも約500キロの道のりを走りきった北野さんは「大変なことも多かったが、無事たどり着けてほっとしている」と感慨に浸った。

 24日は埼玉県深谷市を出発し、東京を目指して銀輪を走らせた。藩政期に全国各地へつながる街道の起点となった東京・日本橋では、合流した自転車仲間と記念写真に収まり、夕方にゴールの皇居・桜田門に着いた。

 北野さんは16日に金沢市の金沢城公園石川門をスタートし、富山、新潟、長野、群馬、埼玉、東京と参勤交代の道程を8日間かけて巡った。

 道中は予期せぬ事態も相次いだ。長野・群馬県境の碓氷(うすい)峠が台風7号の大雨でのり面が崩落して通行止めとなり、回り道しなければならなかった。気温35度を超える日が続く中、上り坂や向かい風の強い日は自転車が前に進まず、体力の消耗が激しかったという。

 加賀藩の参勤交代は徒歩で平均12泊13日かかったとされる。北野さんは「自転車でもこれだけ疲れるのに、加賀から江戸まで歩いた先人はどれほどの苦労だったのだろうか」と思いをはせた。

 それでも、道中で立ち寄った上田城(長野県上田市)や宿場町の面影が残る海野宿(うんのじゅく)(長野県東御市)の風情が印象に残っていると振り返り、「病気や事故に遭うことなく、ゴールできて良かった」と安堵(あんど)した。

 北野さんは自転車旅の次の目標として東京・日本橋と京都・三条大橋を結ぶ中山道の走破を目指しており、「体が動く限りはペダルをこぎ続けたい」と意欲をみなぎらせた。

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