47都道府県で「広域火葬計画」 大災害時に周辺自治体を利用

関東大震災で、火災などで約3万8千人が死亡した旧陸軍被服廠跡に立つ東京都慰霊堂=25日、東京都墨田区

 大規模災害時に、被災自治体が犠牲者を火葬する能力が限界を超えることを想定し、周辺自治体の火葬場を利用することを定めた「広域火葬計画」を、47都道府県すべてで策定したことが26日、厚生労働省への取材で分かった。

 発生から100年となる1923年の関東大震災や、2011年の東日本大震災などでは、多くの遺体の処理が課題になった。広域的な火葬体制構築に向けて国が計画策定を要請。福島県が今年3月に策定したことで全都道府県で出そろった。識者は「自治体が連絡を取り、情報交換する基礎ができた」と評価する。

 約10万5千人の犠牲者が出た関東大震災では、東京・横浜両市などの死者が多い場所で、衛生上そのまま火葬を余儀なくされた場所もあった。火災などで約3万8千人が死亡した旧陸軍被服廠跡(現東京都墨田区)でも、遺体の腐敗が進み、多くは身元不明のまま火葬された。

 東日本大震災では遺体の多さに火葬が追いつかず、県外で火葬されたり、仮埋葬で一時土葬されたりした遺体もあった。

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