辰鼓楼の時計、どうか「国産最古」であって 最古の座奪われた時計台、なるかリベンジ 豊岡・出石

観光客でにぎわう辰鼓楼。時計台としては日本で2番目に古いが、内蔵される時計の製造国を調査し、「国産では最古」の座を狙う=6月4日、豊岡市出石町内町

 国内で2番目に古い時計台「辰鼓楼」(兵庫県豊岡市出石町内町)について、内蔵されている時計の製造国を探る調査が17日、同市出石振興局で始まった。最古の時計台は札幌市にあるが、時計が米国製であることから、辰鼓楼が日本製であれば国産の時計を擁する時計台としては最古となる。地元の観光協会は誘客につながる可能性があるとして、調査結果に期待を寄せる。(斎藤 誉)

 NPO法人「但馬國出石観光協会」によると、辰鼓楼の時計はオランダ製との通説がインターネット上などで流布するが、実際に製造国は判然としていないという。地域のシンボルである辰鼓楼の時計は現在3代目。初代も現存しており、1881(明治14)年9月8日に稼働した。札幌市時計台は同年の8月12日に動き始めたとされるため、わずか27日の差で最古の座は奪われた。

 しかし、札幌市時計台の時計が米国製であるのに対し、辰鼓楼の時計が日本製であれば、国産としては最古とPRできることから、同協会が観光振興への期待を込めて、兵庫県立大に製造国の調査を依頼した。

 調査は、同大工学部の永瀬丈嗣教授(金属材料学)が担当する。この日は、明治初期に製造されたとみられる初代の時計の実物を見て、姫路市の同大まで運搬できることを確認した。

 今後、時計の金属成分を電子顕微鏡で分析する。金属成分によって製鉄方法を把握できることが過去の研究で分かっており、明治初期の世界各国の製鉄方法も調査して、時計の製造国を突き止める。

 同協会の中原裕平事務局長は「国産では最古の時計であってほしいとの思いもあるが、これを機に辰鼓楼を知る人が増えてくれるのが一番」と話した。

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