神戸徳洲会病院、複数患者の死亡巡り文書指導 適切な調査せず、カルテ記載漏れなどで市

神戸徳洲会病院側に文書指導を行った後、記者会見する神戸市保健所の担当者ら=28日午後、神戸市役所

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で循環器内科の男性医師が携わったカテーテル治療の後、複数の患者が死亡したなどとする告発があった問題で、神戸市は28日、患者の死因について適切な調査をしなかったなどとして病院に対し、医療法などに基づき文書指導した。

 同病院では男性医師が赴任した今年1月以降、カテーテル治療や検査で少なくとも5人が死亡し、複数の患者の容体が悪化したと訴える告発文が6月末に市に届いた。市は7月に立ち入り検査を3度実施した。

 市によると、立ち入り検査では男女3人の患者の死亡例を調査した。いずれも死因は不明だったが、新保雅也院長は医療安全対策委員会を設置しての調査を実施しなかった。法人本部から調査の指示を受けても循環器内科医と相談する対応のみにとどまったという。

 ほかにも、この男性医師がカテーテル室で1人で治療を担う状況があったなど、市は安全管理体制に問題があったと判断。新保院長は市の聞き取りに「循環器内科は専門外で、専門医の意見を聞いていた。どのような形で(委員会を)開けばいいか分からなかった」などと釈明したという。

 また、男性医師が携わった患者3人の電子カルテは記載漏れがあり、治療の経過や死因を患者の家族に説明した記録などがなかった。遺族に病名を伝えていたが、死因まで説明していない事例もあり、市は不適切として改善を求めた。

 市は病院側に9月11日までに是正計画書を提出するよう要請。医療安全体制が確保できるまで、カテーテル治療を実施しないよう申し入れた。同病院は近く、男性医師が携わったカテーテル治療で死亡した患者2人の処置が適切だったか調べるため、国の医療事故調査制度に基づく事故調査委員会を開く方針を示している。(金 旻革)

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