ジブリパーク&“住み心地”全国2位のまちに愛知県初の女性首長誕生 長久手市長選で佐藤有美さん(45)が初当選 「子育てで見えたことを市政に」 娘や支援者の応援を受け

全国的に住み心地のいい街として注目される愛知県長久手市。そのトップを決める市長選の投票が行われ、愛知県初の女性自治体トップが誕生することになりました。その選挙戦に密着です。

初当選を果たしたのは、新人で前市議の佐藤有美さん(45)。

(佐藤有美さん)
「新たに市長となり、予算が執行できる立場になることで、さらに長久手市政を前進させていきたいと考えています」

愛知県初となる女性の自治体トップ誕生となる歴史的瞬間でした。

いずれも新人の女性2人、男性1人の接戦となった今回の選挙。中でも「女性初市長」を目指した2人は並々ならぬ思いが…。

(佐藤有美さん)
「女性だから、男性だからということではなく、一人の人間として佐藤有美の能力を選んでいただいた結果当選して、それが結果的に愛知県初の女性市長であるといい」

長久手市議会議員を12年務めてきた佐藤さん。市議では限界があるとして、市長になって子育て支援策の充実を実現させたいと挑みました。その選挙戦の支えは、女性市議たちです。

彼女たちには自治体トップを目指し選挙で破れた過去が。

(大島令子長久手市議)
「(当時は)『女性の議員はいいけれど、首長は認めない』という風潮だった。いま、長久手市議会は18人中8人が女性。男女の別なく活動している。多様性の時代だからこそ(佐藤さんが)市長になれるのではないかと」

(白井えり子日進市議)
「『女性の市長が出てきて当たり前』いう風土がつくりたいと思っていたら、隣町で佐藤さんがでるということで応援したいと。風穴が開けば後に続く人が増える」

そして、家族も支えます。

女性候補2人を応援するのは娘たち

(佐藤さんの娘 萌花さん)
「ピンクを強調したいので、ピンク多めにしました」

佐藤さんの娘、萌花(もえか)さん(14)は、支援者からのメッセージを飾るパネルを作って応援です。

(佐藤さん)
「投開票の日には埋まるようにしたい」

一方、新人でNPO法人元事務局長の岩岡ひとみさん(44)は初めての選挙。

(岩岡ひとみさん)
「民間での女性の活用なども含め、女性リーダーが変えていくタイミング」

今期限りで引退する、現職の吉田一平市長の実質的な後継として、現市政の継承と、子育て支援策などを訴えました。岩岡さんを支えたのも家族や友人たちでした。

(岩岡さんの娘 さくらさん 27歳)
「『大丈夫かな 大丈夫かな』という気持ちだったので、無事に送り出せたので(涙腺が)緩んでしまった」

(支援者)
「高校の同級生。常に何をやるにも支えてくれた。今が返すときと思い全力で支える」

娘のさくらさんは、SNSで母親を応援します。

(岩岡さんの娘 さくらさん)
「『いいこと言っているな~』と思いながらSNSをあげてます」

「岩岡ひとみ 岩岡ひとみでした。ありがとうございました」
26日、雨の中、最後の1秒まで演説を続けた岩岡さん。周りの人たちにもこみ上げてくるものが。

「佐藤有美に一票を託してください」
佐藤さんもギリギリまで演説。事務所に帰ると…

(佐藤有美さん)
「協力してくださったみなさんに感謝感謝の気持ち」

「20年間の子育てを市政に反映させたい」

そして迎えた運命の日27日。岩岡さんは家族とともに緊張した面持ちで結果を待ちますが。

午後10時半、岩岡さんは、佐藤さんに1750票の僅差で敗れました。

(岩岡ひとみさん)
「知名度のない中、新人の私が勝ち抜くのは本当に難しい選挙戦でした。本当に申し訳ありません。ありがとうございました」

また、敗れた佐野尚人さん(58)は、「男女とか関係なく、佐藤さんには市長としてきっちりと公約を果たしてほしい」と話しました。

当選した佐藤さんの事務所のパネルは、応援メッセージで埋め尽くされていました。

(佐藤さんの娘 萌花さん)
「市長になったことが信じられなくて、よりよい長久手になるように頑張ってもらいたい」

住み心地のいい街として全国から注目され、ジブリパークの新エリアオープンでさらなる盛り上がりが期待される長久手市。

(当選 佐藤有美さん)
「20年間子育てをして、その中から見えてきたことを市政に反映させたい」

愛知県初の女性自治体トップとして、どう舵取りをしていくのか佐藤新市長の手腕が問われます。

© CBCテレビ