ORC元管理職を書類送検 航空保安情報持ち出し疑い 運行の安全に直接影響なし

 オリエンタルエアブリッジ(ORC、長崎県大村市)は28日、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで長崎県警が今月9日に書類送検した男性(66)=東京都葛飾区=について、元管理職と明らかにした。航空保安に関する機密情報を持ち出した疑い。国土交通省は事態を重くみて、同社に再発防止策の作成を求めている。
 同社によると、男性は航空の安全管理システムを統括する安全推進室の元管理職。昨年11月末に退職した後、男性が使用していたパソコン履歴を調べたところ、航空保安に関する機密情報を持ち出したことが疑われる形跡があったという。情報は誰もが見られる状態ではなかったが、男性は見ることができる立場だった。同社は翌月、大村署に相談した。
 書類送検容疑は昨年11月25日ごろ、会社貸与のパソコンから同社のサーバーコンピューターにアクセスし、情報を私用のUSBに転送し、複製した疑い。男性は「(情報は)転職先で役に立つかもしれないと思った」との旨を話したという。
 同社によると、運航に影響はなく、情報の悪用や第三者の関与は確認されていないという。取材に「社内向けには事案の周知と再教育を行い、専門家の意見や国交省の指導を受けながらセキュリティーをさらに強化していく」とした。
 国交省航空局は「運航の安全に直接影響する情報ではないが、秘匿性の高い情報が外部に出されたことは問題」とし、情報管理のさらなる徹底を求めた。
 男性は退職後、県外の航空会社に転職。この会社によると、転職先でも安全推進室の管理職に就いたが、本人の申し出を受け、現在は管理職を外れて同室で勤務している。

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