青森県トラック協会弘前支部青年部会は28日、物流の「2024年問題」でトラック運転手の残業規制が強化された場合、津軽地域と関東地方を往復する長距離輸送の運行回数が現行の1カ月8回から7回以下に減少するとの試算を発表した。農産物などの地場産品や資材の配送が遅れ、地域経済に影響を及ぼす可能性があると分析。運送事業者と荷主が連携し、作業効率化に取り組むことが急務との見方を示した。
同日、弘前市民会館で開いた物流フォーラムで、川口晃司青年部会長が運送事業者や荷主関係者らに試算内容を説明した。
24年4月から適用される時間外労働時間の上限規制により、1カ月当たりの拘束時間は原則として、現行より9時間短い284時間に制限される。
津軽-関東間の760キロを運行する場合、拘束時間は往復31時間、休息8時間の計39時間で、月8回に換算すると、312時間。▽ドライバーが手作業で行っている荷積みや荷降ろしを、パレット(荷物を載せる台)に乗せてフォークリフトで運ぶ方法に変更▽配送拠点を1カ所に集約-などの対策で作業時間を短縮しても、284時間の上限を超えるという。
このため、月7回以下に運行回数を減らす必要があり、輸送量は減少。運送事業者の売り上げ、運転手の収入も落ち込む。
川口青年部会長は、運転手が働ける時間が短くなる上、収入減少に伴う離職者も増えるとみて、「輸送サイクルを維持できず、従来と同じ量の仕事を受注できなくなる」と地域経済への影響を説明した。
この日のフォーラムでは、物流シンクタンク「NX総合研究所」(東京)の大島弘明常務も2024年問題について講演。集荷先で荷物の受け取りを待つ「荷待ち時間」や荷役作業短縮が必要とし、「客観的な数字に基づき、荷主と交渉してほしい」と運送事業者に呼びかけた。