核燃料中間貯蔵施設(青森・むつ市)の保安規定認可 原子力規制委

 原子力規制委員会は28日、青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の運転管理方法を定めた保安規定を認可した。9年半超にわたった一連の審査が終了。事業者のリサイクル燃料貯蔵(むつ市、RFS)は認可を受け、近く県や市に報告する見通し。ただ、操業前の最終検査に用いる核燃料の搬入めどが立っておらず、操業に向けた先行きは見通せていない。

 むつ市の施設は、原発で使った核燃料を再処理するまでの間、空冷式のキャスク(貯蔵容器)に入れて一時保管する。RFSに出資する東京電力、日本原子力発電の核燃料計5千トンを最長50年、貯蔵する計画。原発の敷地外で一時保管する国内唯一の施設となる。

 保安規定は新規制基準の審査で最終段階に当たる。RFSは、事業開始時期の2年延期を表明した2021年7月、具体的な開始時期について「保安規定認可の見通しが得られた段階で見極める」とした。その認可を28日に得たが、操業時期を見極めるのは困難な情勢との見方もある。

 RFSは事業開始前の最終検査で、使用済み核燃料を入れたキャスク1基を東電柏崎刈羽原発(新潟県)から運び込む。しかし同原発は、テロ対策の不備などを理由とした核燃料の移動禁止命令が解けていない。

 28日の取材に、RFS担当者は「コメントを差し控える」と回答。宮下宗一郎知事、山本知也むつ市長はいずれも、まだ事業者から報告を受けていないため、コメントを控えるとした。

 大手電力で構成する電気事業連合会は20年12月、出資2社以外の各社も施設を共同利用する構想を公表したが、地元は反発。当時市長だった宮下氏は今月の取材に対し、「市にも県にも共用化構想は一切存在しない」との見解を示した。

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