バスケW杯 日本劇的逆転勝利の “立役者” 富永啓生とは?「どこからどんな体勢で打っても入る」コートの全てが射程距離

FIBAバスケットボールワールドカップで、フィンランド相手に歴史的勝利をあげた日本代表。その勝利を呼び込んだ選手の1人が、名古屋市出身の22歳、富永啓生選手です。どんな選手なのか、その素顔を追いました。

名古屋市守山区出身の富永啓生選手、当時高校3年生。逆サイドのコートの3ポイントラインからシュートしても。

鮮やかに決めてしまいます。

(富永啓生選手)
「どこからどんな体勢で打っても入る」

その言葉通り、体育館の2階の観客席からでも入れて見せます。

距離も場所も関係ない正確無比なシュートが武器。バスケットボールワールドカップ日本代表の天才シューターです。

その才能の片りんは幼少期から。3歳とは思えない、きれいなシュートフォームでゴールを決めます。

小学校の卒業式で語った将来の夢は…

(富永小学生時代)
「バスケットボールの選手になってNBAで大活躍します」

幼いころからの夢をかなえるため、高校卒業後はアメリカへと渡り、現在ネブラスカ大学のチームのエースとして活躍を見せている富永選手。

今年6月に帰国した際、CBCの単独インタビューに応じてくれました。

Q:どうですか、久しぶりに帰ってきた日本は?

「いつも通り新鮮な感じはあります」

Q:ネブラスカ大学で2年間プレーして、自分の立ち位置は今どこにいる?

「1年目はなかなか自分の思い通りにやれなかった部分もたくさんあったんですけど、2年目は自分のプレーができるようになってきて、自信もついたし自分のやりたいバスケットができている」

2021年にネブラスカ大学に編入した富永選手。しかし、ネブラスカ大学が所属しているのはアメリカでも5本の指に入るといわれる全米屈指の強豪リーグです。

1年目は思うように成績を残せず、1試合の平均は5.7得点。高校の全国大会で記録した得点(39.8 高3のウインターカップ1試合平均)には遠く及びませんでした。

(富永啓生選手)
「1年目は1試合のアテンプト(シュートの本数)1本2本というレベルだった。本当にシュートを外したら、この試合の(出番)は終わりという感覚だった」

1本シュートを外したら出番は終わり。当時の富永選手に足りなかったものは
チームからの信頼でした。

信頼を得るために必要だったのは得点力。自分よりはるかに体格で勝る選手たちを相手にどうすれば得点することができるのか。そこで富永選手はロングシュート以外の武器を磨き上げたのです。

(富永啓生選手)
「3Pだけじゃなくて中にカットインしたりすることでDFも守るのが難しくなるのかなと」

カットインとは、ボールを持っていない状態でゴールへ向かって鋭く切り込む動きのこと。富永選手はボールを持っていない時の動きで中に入るのかロングシュートかを迷わせて、より3Pシュートを打ちやすくしたのです。

(富永啓生選手)
「もともとシュートだけだったときは、とりあえずシュートだけ打たせるなという感じで守ってこられていたので、(DFからの)プレッシャーも強くなる。けどカットインができるようになってからは相手もそういうプレッシャーがかけられなくなる」

カットインを身に着けた富永選手は2年目のシーズンから得点を量産。平均得点は1年目の倍以上となる13.1得点にまで跳ね上がりました。

特に今年2月には5試合連続で20得点以上を記録するなど大きな成長を見せたのです!

(富永啓生選手)
「2月あたりくらいからは本当に自分の自信につながるいいパフォーマンスができたかなと思います」
「(W杯は)すごくレベルの高い大会になると思うのですごく楽しみですし、3Pシューターとしてチームを助けられるような選手になりたい」

フィンランドに勝って盛り上がりを見せるFIBAバスケワールドカップ。29日の夜に行われる強豪オーストラリア戦で稀代のシューターが活躍を見せるか?期待です!

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