瀬戸内海の島々に “文化” を届ける船があった 図書館船「ひまわり」 歴史をたどる

かつて瀬戸内海の島々に本を届けていた船がありました。当時、日本で唯一だった移動図書館船の写真展が広島市で開かれています。

近藤志保 記者
「60年前、図書館船として瀬戸内海の島々をめぐっていた『ひまわり』の写真展が開かれています」

広島市中区にある県情報プラザ1階のエントランスホールです。「文化船ひまわり」は1962年から約20年間、瀬戸内海を行き来していた図書館船です。全長14メートル、幅3.65メートルの木造船で、写真展会場の隣りにある県立図書館には20分の1サイズの模型が展示されています。

まだ、島々を結ぶ橋がなかった時代…。ひまわりは、1500冊もの本を積んで瀬戸内海にある19の島を回りました。島の人たちは、船がやって来るのを心待ちにして、2か月に1度訪れたときは正装をして迎える人もいたそうです。県立図書館の船として延べ45万人に貸し出した本は70万冊にも上ります。

現在は、尾道市瀬戸田町に保管され、日本船舶海洋工学会が歴史的、技術的に価値のある船とする「ふね遺産」におととし、認定されました。県立図書館では10月29日まで関連する本や資料の展示も並びます。

広島県立図書館 調査情報課 今岡亜樹子 課長
「図書館で本が借りられるっていうのは今、当たり前なんですけれども、そういうふうに過去の人たちがみなさんに文化を届けるとか本を届けるとか、そういう中で図書館っていう文化が根付いてきたのを考えながら見ていただけたらと思います」

ひまわりの写真展は、9月20日まで開かれています。

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