「人件費、燃料費…想定以上に上がっていて苦しい」9月からタクシー運賃1割値上げの背景  

燃料費の高騰などを受け、静岡県内のタクシー運賃が9月から1割ほど引き上げられることになりました。運賃が値上げするのは約3年半ぶりです。

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<ひかりタクシー 泉真社長>
「こちらに料金表が張られているが、こちらの張り替えやメーターの修正作業が今後控えている」

静岡市のタクシー会社では、これから運賃改定に向けた作業を行う予定です。

タクシー運賃が引き上げになるのは、静岡市や浜松市など「静岡地区」では、9月25日から普通車の初乗り運賃の上限を1.2kmまで600円から660円に、一方、伊豆市など「伊豆地区」では、9月11日から1.2kmまで610円から680円に引き上げます。

タクシー運賃が改定されるのは、2020年2月以来、およそ3年半ぶりです。

中部運輸局によりますと、県内の9割ほどの事業者から燃料費の高騰などを受け、運賃改定の要請があり、今回の運賃引き上げを決めたということです。

さらに、背景にはタクシー業界が抱える大きな課題も。

<静岡県タクシー協会 村上雅則専務理事>
「コロナの前と比較すると2割くらいドライバーが減少してしまった」

県タクシー協会によりますと、コロナ禍前の2018年度には6000人以上いた運転手は、コロナの影響を受け、2022年度には4000人台まで減少しています。

<静岡県タクシー協会 村上雅則専務理事>
「運賃改定によって労働条件をよくすることは、雇用の改善にもつながるのでは。人材不足の改善にもつながるのではないか」

人手不足に対応するため、タクシー会社も工夫を重ねています。

<ひかりタクシー 泉真社長>
「少人数でもたくさんの需要に応えられるように需要が集まる日中、昼間に運転手が集まるように、配車室の電話交換の技師も日中にシフトを集めて対応している」

ひかりタクシーでは、人手が足りない中でも効率的に配車できるよう運転手などの勤務体制を変更しました。会社としてできる限りの対応をしつつ、運賃の改定も必要だとしています。

<ひかりタクシー 泉真社長>
「人件費の高騰、燃料費の高騰、部品代やタイヤ代、想定以上に上がっています。苦しいです。本当にそこを理解していただけたら」

今回の運賃改定が運転手の労働条件の改善など、タクシーサービスの質の維持につながることが期待されます。

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