日本酒需要、コロナ前超え 石川「ひやおろし」予約3万1742本

店頭に並んだ秋の季節酒「ひやおろし」=昨年9月、金沢市内

  ●飲食店回復、家飲み下支え

 日本酒の需要が回復してきた。9月1日に石川県内の24酒蔵から一斉発売される秋の季節酒「ひやおろし」の予約数は、昨年比261本増の3万1742本となり、1酒蔵当たりの平均予約数がコロナ前を上回った。コロナの5類移行で飲食店向けの回復に加え、「家飲み」の定着が下支えしているとみられる。秋は日本酒の需要が高まる時期で、各酒蔵は売り込みに一層力を入れる。

 ひやおろしは冬に醸造してひと夏熟成させ、火入れをせずに生詰めした日本酒で、落ち着いた香りと丸みのある味わいが楽しめる。2007年から石川県酒造組合連合会を中心に一斉販売のキャンペーンを展開し、地酒の魅力をPRしている。

 今年は24酒蔵が1銘柄ずつ出品した。昨年から3酒蔵減ったものの、予約数は3万本を超え、1酒蔵当たりの平均予約数は1322本(昨年1165本)となった。コロナ前の19年は1179本、18年は1204本だった。

 北陸の酒蔵によると、コロナ下の日本酒の売り上げは、外出自粛や飲食店の時短営業などの影響で、3~4割減少した月があったという。売り上げは徐々に回復してきている。

 車多酒造(白山市)では、ひやおろしの予約数が昨年を超え、コロナ前の水準となった。担当者は「5類移行で飲食店向けの需要が回復している」と話した。同じく昨年の予約数を上回っている福光屋(金沢市)の担当者は「酒蔵が連携して行ってきたキャンペーンが定着してきた」と手応えを語った。

  ●発売の1日に商業施設でキャンペーン

 ひやおろしは720ミリリットル入りで、価格は1485~2530円。一斉発売の9月1日は、金沢市の香林坊大和と金沢エムザで全24銘柄を集めたキャンペーンが行われる。

 白山市のイオンモール白山では3日まで特設会場が設けられ、各酒蔵の担当者が地酒の魅力をアピールするイベントを開催する。いずれも試飲ができる。

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