高岡の銭湯「赤湯」、 豪雨被害から復活 常連客の声が後押し、家族一丸で泥撤去

営業を再開し「多くの人に来てほしい」と話す工さん

 7月中旬の豪雨で被害を受けた富山県高岡市守山の銭湯「赤湯」が奮闘している。機械室に泥水が流れ込み休業を余儀なくされたが、常連客の思いに応えようと、家族一丸で修復作業に取り組み、営業を再開。創業100年以上の歴史がある同店の4代目店主、工与志博(たくみ・よしひろ)さん(73)は「また多くの人が来てくれたらうれしい」と話す。

 赤湯は小矢部川に近い二上山を望むエリアに位置する。きめ細やかな白い泡がはじけるラドン温泉などが人気だ。

 7月12、13日の豪雨では、地下にある機械室に天井まで泥水が流れ込み、ボイラーやろ過器などが故障した。配電盤も壊れ、洗濯機やトイレも使えなくなり、営業を休止した。

 厳しい状況に立たされる中、再開の後押しとなったのは、利用客の「いつものお湯に早く入りたい」という声だった。休業を知らずに訪れる客もおり、工さんは「引き返す人たちには申し訳なかった」と振り返る。

 家族総出で機械室の泥をかき出す作業に取り組み、水に漬かって使えなくなった機械も買い替えた。

 営業は今月6日から再開した。まだ修復できていない箇所があるため仮営業だが、客足は少しずつ戻っているという。工さんは「何とか営業できて良かった。多くの人に再開を知ってもらい、リピーターたちの顔が見られたらうれしい」と語る。

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