「うなるストレート」+「縦カットボール」=“勝利の方程式” 広島カープ 大道温貴 進化の分岐点は交流戦 “2つの要素” を語る

うだるような暑さをものともせず、シーズン後半で存在感を強めている広島カープの 大道温貴 投手―。

広島カープ 大道温貴 投手
「毎回、同じ状態で行けるようには常に準備していて、それがうまく試合でも表現できているなっていう感じはあると思います」

1年目の途中から先発転向していましたが、3年目はリリーフとして再出発。その大道の最大の持ち味とは…

実況
「高め! 空振り三振」
「空振り三振! 大道、力でねじ伏せました」

うなるストレート。このストレートを中心にした投球で8月27日現在、9週連続無失点の活躍を見せています。

大道温貴 投手
「自分が投げたい回転だったり、質だったり、そういったまっすぐ(ストレート)が多く投げられているっていうのはあると思います。1・2年目はストレートの確率というか、こう投げたいっていうまっすぐは、10球投げたら1・2球しか行ってなかったのが、ことしに関しては多めに投げられているのかなっていう…」

全身を使って放たれるストレートはスピン量が多く、吹き上がるため、真ん中から高めへ投じることがコツだといいます。

その球質を最大限に生かしたピッチングを続ける大道ですが、ある “2つの要素” により、さらに持ち味を発揮しています。

それは、「偶然が産んだ産物」と「藤井ヘッドの助言」―。どちらも6月の交流戦がきっかけでした。

大道温貴 投手
「交流戦で特にワンポイントで行く場面がかなり多かったとは思うんですけど、そこで、ぼくの場合、まっすぐ(ストレート)とカット(ボール)で勝負していく中でけっこういいところにカットボールが決まっていたんですけど、なんか全然、(バッターの)反応が悪くて、そのときは意識して投げていないんですけど、縦に落ちたカットがかなり反応がよくて…」

交流戦で偶然、投じた “縦変化のカットボール” ―。スピンの効いたストレートが軸の大道にとって、これが大きな武器と変わりました。

広島カープ 大道温貴 投手
「ぼくのまっすぐとの相性がよかったので、そこから意識的に縦と横で(カットボールを)投げ分けています」

さらに交流戦のピッチングを見た 藤井彰人 ヘッドコーチからの助言を受け、投げるコースについても新たな考えが生まれました。

大道温貴 投手
「交流戦で、そのワンポイントで行く中で角を狙って一気にはずれてボールとか、そういうのが多かったんですよ、その時期。その後、(藤井ヘッドコーチから)『もったいなくないか? だったら1球目からストライクを投げて、そこからどんどん広げたりすればいいんじゃないか』みたいな話もあったので…」

その助言を受けた大道は、同学年でもある 坂倉将吾 に相談し、去年からの課題であった右バッターへのインコースのサインをやめたそうです。

新たに加わった縦カットと、高さで勝負するストレートを武器とした大道は、交流戦以降、抜群の安定感を誇ります。8月25日~27日の3連投まで20試合を投げて、わずか3失点。信頼を得た大道は、“勝利の方程式” の座をつかみ取るまでに進化しました。

さらに、これだけにとどまらず、8月26日のヤクルト戦では、6月以降、封じていた右バッターへのインコースも解禁しました。

大道温貴 投手
「インコースに構えるのが久々すぎて、『来たわ(笑)』って感じで投げました」

自信を得ると、8月27日も要求どおりのインコースにズバッと…。

ゾーン全体で勝負することが可能になった大道は、チームの勝利へ導くため、最後まで腕を振り続けます。

広島カープ 大道温貴 投手
「チームが強いので、その一員に自分もなりたいという気持ちがあるので、集中して投げていきたいなと思います」

◇ ◇ ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「新井監督が常々、『戦いながら成長する』って言っていましたけども、まさにそういうことですよね。いろんなところに気づきがあって、自分のものに吸収していく。ワンポイントって、めちゃくちゃ難しいんです。誰もができるポジションではないんですけれども、それをポッと大道投手が埋めてくれる。たぶん、新井監督と藤井ヘッドからしたら、すごく心強いですよね」

石田充 アナウンサー
『本当に欠かせない中継ぎになっている大道投手です」

青山高治 キャスター
「ほれぼれするようなストレートですよね」

天谷宗一郎 さん
「そうですね。糸を引くような、すばらしいストレート。今後も優勝争いありますから、しびれる場面でのピッチングを見たいなと思います」

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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