「死に絶えるの待つのか」 被爆者4団体が首相と面会 被爆体験者の救済訴えるも、憤り

岸田首相と面会後、取材に応じる長崎原爆被災者協議会の田中会長=30日午前、首相官邸

 国の指定地域外で原爆に遭った長崎の「被爆体験者」の救済などを岸田文雄首相に訴えた長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(82)は30日、記者団の取材に応じ「従来通りの回答。われわれが死に絶えるのを待っているのではないか」と憤った。
 長崎被災協など被爆者団体4団体は例年8月9日の平和祈念式典後、援護策の充実などを首相に要望。今年は台風接近の影響で首相が式典に参列できず、要望も延期された。
 仕切り直しとなった今回、官邸を訪れた4団体の代表は昨年4月から運用されている広島の「黒い雨」被害者の新たな被爆者認定基準を、被爆体験者にも適用するよう求めた。
 田中会長は岸田首相に「総理の英断」による長崎の被爆地域是正を訴えたことについて「長崎の被爆体験者は約6千人。県市を挙げて解決に努力しているが、国の壁が厚い。それを首相に解決してもらいたかった」と語った。その上で「科学的知見と言うが、戦争を起こした国の責任で明らかにすべきだ。(体験者側に)証明しろというのは冷たい」と批判した。
 県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(80)も「放射線の人体影響など新たな科学的知見を総合して決めていくべきだ」と国に対応を求めた。

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