「神々が宿る島」の神社知って 長崎・壱岐の高校生が由緒書き作成 学習発表会で全国1位

作成した「住吉神社」の由緒書きを手にする壱岐高3年の(左から)瀬口さん、大野さん、中原さん、篠﨑さん=壱岐市、同校

 150を超える神社があり「神々が宿る島」として知られる長崎県壱岐市の神社をもっと知ってほしいと、県立壱岐高(桑原鉄次校長、422人)の生徒が昨年、高校生目線で7社の由緒書きを手書きで作成した。県内外の高校生を対象にした全国大会の学習発表会で1位相当の優秀賞に選ばれ、神社の掲示板でもPRに一役買っている。
 作成したのは3年の瀬口晃代さん、大野ちひろさん、中原海咲さん、篠﨑心美さん。きっかけは総合的な探究の時間の授業だった。神社の多さに着目した4人は、神に仕える女性「巫女(みこ)」にちなみ「みこーず」として活動を始めた。
 校内でアンケートをするなどし、人々が神社について知り、正月以外にも訪れる機会をつくろうと、神社を楽しく知るイベントなどを「神社エール」として企画。昨年9月、市内の高校生と市民が地域づくりに向けて話し合う「SDGs対話会」で発表した。
 その中で各神社に伝わる由緒書きを知り、NPO法人一支国研究会の伊佐藤由紀子理事長に、神社とそこに祭られる神様などについて聞き、「神社エール」の方向性が決まったという。
 4人は各神社を訪ねて宮司などに取材。由緒書きや書物などを確認したが、神社の厳かな雰囲気が人々を遠ざけ、本来の魅力を伝え切れていないと感じた。由緒書きをイラストなどを交えて現代風にすれば、身近に感じられ、価値の再認識や豊かな歴史、文化の継承につながると考えた。
 書やイラストなど手書きにこだわり、書物が残っていない神社は宮司への取材や壱岐名勝図誌(江戸時代編さん)などで調べた。今年2月までに住吉神社、聖母宮、白沙八幡神社など7社の由緒書きが完成した。
 同月、長崎を元気にするアイデアコンテスト(県教委主催)で20校の中から最優秀賞3選に。3月、全国大会と位置付けられ、16校が参加したWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)探求発表会(同)で1位相当の優秀賞だった。
 由緒書きはA3サイズに縮小して各神社に贈り、掲示されている。メンバーは「神社の多い壱岐という環境や、取材を進めていく中で人に恵まれていた。同じ思いを持ったメンバーが集まり、助けあったことで成し遂げられたことは幸せだった」と振り返った。

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