七転八倒の腹痛引き起こす「アニサキス」にご用心 -20℃で冷凍 60℃以上で加熱 食欲の秋を堪能するために注意する点は

これからサンマなど秋の味覚が楽しみな季節になります。食欲の秋を堪能するために、用心する必要があるのが「アニサキス」です。私たちが注意する点はどんなことでしょうか。

サバにサンマ…。広島市のスーパーには新鮮な青魚が運び込まれています。これから食欲の秋。こうした秋の味覚を堪能するためにも気をつけなければいけないのは…。

白く、線状でぐにゃぐにゃと動く生き物。アニサキスです。8月、広島市内のスーパーで買った、イワシの刺身を食べた客が、激しい腹痛を発症。アニサキス食中毒だったことが、わかりました。

広島市 食品保健課 石井宏幸 技師
「かなりの痛みを感じる人が多い印象です」

七転八倒の苦しみをあたえるアニサキス。寄生虫の一種で、成虫はクジラやイルカの胃に寄生しています。ここからどうやって食卓までたどり着くのでしょうか。

アニサキスが食卓にたどり着くまで… 近年では食中毒も増加傾向に

クジラやイルカから排出されたアニサキスの卵がふ化すると、オキアミが食べます。このオキアミをサンマやイワシなどがエサにしています。そして、サンマやイワシを人が食べることでアニサキスの食中毒になります。

広島市 食品保健課 石井宏幸 技師
「アニサキス食中毒の症状として、食後数時間から十数時間の間に、みぞおち付近に激しい痛みを感じたり、おう吐などの症状があらわれるといわれている」

アニサキスによる食中毒は近年、増加傾向にあるといいます。厚生労働省によりますと、2022年は全国で566件も発生しました。1年間を通じて食中毒が発生しており、季節性がないことも特徴です。

魚介類の保管技術が向上し、生で食べられる魚が増えたことや、気候変動の影響で日本近海でアニサキスが増加したことが要因だということです。

では、私たちの食卓に並ぶ前にどういった作業が行われているのでしょうか?

鮮魚店では担当者を分け5回チェック 食卓では冷凍・加熱処理を

「ヤマスイ サンリブ五日市店」(広島市)で、アニサキスが多いといわれる、サバの内臓を見せてもらいました。

宮本学知 記者
「めちゃくちゃいる…」

内臓には、数え切れないほどのアニサキスが…。こちらの店ではアニサキスを死滅させるため、24時間以上冷凍しています。さらに刺身や寿司で出す場合は、担当者を分けて、5回チェックするなどの対策を取っていました。

ヤマスイ サンリブ五日市店 柚木将司 店長
「(魚が)おなかいっぱい食べて、脂をためている分、寄生虫も一緒に食べている。脂がのって、おいしい証拠でもある」

消費者はどのような点に気をつければいいのでしょうか。

広島市 食品保健課 石井宏幸 技師
「アニサキスは、生き物なので、冷凍か加熱すれば無害化できる。60℃以上で1分間以上加熱すれば死滅する。刺身は-20℃で24時間、冷凍処理をすることで死滅する」

一方で、酢・塩漬け醤油・わさびといった調味料でアニサキスを死滅させることはできないといいます。この秋はアニサキスに注意して、ぜひ、秋の味覚を楽しんでください。

© 株式会社中国放送