9月から多くの学校で2学期を迎えますが、「学校に行きたくない」と感じている子もいるのではないでしょうか。
子どもがそう訴えた時、私たち周りの大人たちはどのように向き合ったらいいのか。専門家に話を聞きました。
「学校に行きたくない」という子どもたちが増えるといわれる夏休み明け。
なぜそう訴えるのでしょうか。臨床心理士で多くの子どもたちのカウンセリングをしている中島珠実(なかじま・たまみ)さんはこう分析します。
(臨床心理士・中島珠実さん) 「学校に行っているだけでも、ものすごく頑張って行けているお子さんも多いので、1回休んでしまうと、エネルギーが蓄えるというよりも、もっとたくさんいるという感じでしんどくなってしまう子が多い気がする」
それでは、実際に子どもに「学校に行きたくない」と言われたら保護者はどうしたらいいのでしょうか?
(臨床心理士・中島珠実さん) 「一番大切に考えてあげてほしいのが『どうした?』っていう風に聞く。聞いても黙ってしまうようだったら、まず『休もうか?』と。一回お互いに間を開けるというか、考える時間を作る意味でも、休ませてあげるのがいいと思う」
行きたくないと言葉にするのは、子どもたちからの最大のSOSのサインだといいます。
一方で…
(質問) 「一度学校を休んでしまうと、もう行けなくなってしまうのではないかと不安に思う人も多いと思います。そういったときには、どのように考えたらいいんでしょうか」
(臨床心理士・中島珠実さん) 「焦って動かそうとしたら、その何倍も時間がかかって立ち止まってしまったり、ひきこもることも起こりがち。これからずっととは思わないで、まずは3日間、1週間と思って、一回寄り添ってあげる」
そのうえで中島さんは焦らないことが大切だと訴えます。
(臨床心理士・中島珠実さん) 「悪いことをしていると考えないで、僕にとって私にとって、この時間が必要なんだと親も言ってあげてほしいし、本人にもそう感じてほしい。ずっと続くわけではないので、必ず出口があるので、焦らないで構えてほしいと思う」
子ども達が発するSOSは、学校へ行きたくないという言葉以外にも何かあるんでしょうか?
中島さんによると、子どものSOSのサインにはこのようなものがあります。
数日間を振り返ってみて、
▼表情が暗い ▼食事の量が減った ▼トイレの回数が増えた
など体調面での変化。
その他、無口な子がよくしゃべる、逆におしゃべりな子があまり喋らないなどの変化にも注意してほしいといいます。
学校に行かせるかどうか悩むときには、その判断材料となる「学校休んだほうがいいよチェックリスト」もあります。
このチェックリストは、不登校の子どもたちを支援する団体と精神科医が共同で開発したもので、LINEを使った無料のサービスです。
最近の子どもの様子など20の質問事項に答えると、学校を休んだ方がいいかどうかの結果と、アドバイスをもらうことができます。
中島さんはその上で、このように呼びかけています。
(臨床心理士・中島珠実さん) 「一人一人違うので、周りと比べてじゃなくて、子供さんには自分自身の身を守るためにという感じで、自分を大事にしていいんだよということを伝えたいし、お母さんたちには周りと比べないで、わが子の今の様子を見てあげてほしいと思う」
学校に行けないというのは決して悪いことではなく、自分の心と体を守るサインです。
一人一人のぺースでよりよい学校生活を送って欲しいですね。