「息子の死を教訓に」医師の働き方改革を 甲南医療センター過労自殺の遺族、厚労省に嘆願書

会見で息子の高島晨伍さんについて語る母の淳子さん=東京・霞が関の厚生労働省

 甲南医療センター(神戸市東灘区)の医師、高島晨伍(しんご)さん=当時(26)=が長時間労働が原因で自殺し、西宮労働基準監督署が労災認定した問題について、遺族らが31日、厚生労働省で会見した。母淳子さん(60)は「病院の労務管理が改善され、医師らの労働環境が良くなることを願う」と語った。

 淳子さんらによると、高島さんは同センター消化器内科の専攻医(旧後期研修医)だった昨年5月17日夕、センターに近い、1人暮らしの自宅で自殺。うつ病を発症していた。2月6日を最後に休日がなく、西宮労基署が認定した直前1カ月間の時間外労働は、国の精神障害の労災認定基準(160時間)を上回る207時間50分だった。

 会見前、淳子さんたちは厚労省に嘆願書を提出。甲南医療センターへの是正勧告などのほか、医師の働き方改革の実現を求めた。会見で淳子さんは「息子の死を教訓に今後、同様の悲劇を防ぐための努力は惜しまない。医療、行政、社会が手を取り合ってほしい」と訴えた。

 会見には、1999年に小児科医の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さん(67)も同席。遺族会を立ち上げ、淳子さんと共同代表を務めることを明かした。(堀内達成)

© 株式会社神戸新聞社