東西灯明、金沢に到着 2日に浄土真宗合同法要

  ●京都の両本山で「分灯」

 2日に金沢城公園で営まれる浄土真宗の東西合同法要「いのちのつどい」を前に31日、京都の東西両本山(本願寺)でともされている灯明(とうみょう)の火が金沢へ運ばれた。法要当日は、二つの火を会場の三の丸広場で一本のろうそくにともす。両本山の灯明が一つになるのは初めて。本願寺教団が二つに分かれる前、「百姓ノ持(もち)タル国」加賀の中心として金沢御堂(みどう)(尾山御坊)があった地で、東西が力を合わせて執り行う法要の象徴とする。

 浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺(京都市)の御影堂(ごえいどう)では31日、「常灯明(じょうとうみょう)」から火を分ける「分灯式(ぶんとうしき)」が執り行われた。常灯明は、歴代宗主(しゅうしゅ)から受け継がれてきたと伝わり、24時間、365日、絶えることなく燃えている。

 式では、常灯明から取られ、本尊前を照らす「輪灯(りんとう)」の火を、儀礼をつかさどる僧が紙の「紙燭(ししょく)」に移した。合同法要実行委員会の顧問、日谷照應氏(同派石川教区宗会議員)がランタンで火を受け取った。

 東西一つの明かりのもとで営まれる合同法要について日谷氏は「浄土真宗が東西に分かれていなかった親鸞聖人(しんらんしょうにん)の時代に戻ったような気持ちで勤めさせていただきたい」と抱負を語った。

 真宗大谷派の本山・東本願寺(京都市)では、金沢別院の髙桒(たかくわ)敬和輪番が、御影堂(ごえいどう)の後ろにある「常夜灯(じょうやとう)」の火をランタンへと移した。常夜灯は毎日、当番の僧が朝3時半ごろ点灯し、夕方4時過ぎの消灯までともっている。

 髙桒輪番は「責任を持って運ばせていただく」と述べ、東西二つのランタンの火を、長時間燃える炭に移した。携帯できる暖房器具「豆炭あんか」で車に載せた火は、同日中に金沢に到着した。法要当日まで東西各別院で保管される。

  ●金沢城公園、午後2時から 誰でも参加可

 法要は2日午後2時に始まる。金沢龍谷高箏曲(そうきょく)部の演奏に続いて行われる「灯明式」では、髙桒輪番と西別院の中村祐順輪番がステージに上がり、二つの火をろうそくにともす。

  ●3日は稚児行列

 合同法要は、親鸞聖人御誕生850年と立教開宗800年、北國新聞創刊130年の節目に合わせ、東西両派の石川県内組織と北國新聞社でつくる実行委員会が実施する。東の木越渉(わたる)宗務総長(金沢市出身)と西の池田行信(ぎょうしん)総長がそろって参列する。3日は東西別院をそれぞれ発着点とする2コースの稚児行列が行われる。

 法要は誰でも参加できる。問い合わせは事務局の北國総合研究所=076(263)2266=まで。

分灯式で火を受け取る日谷顧問(左)=京都市の西本願寺
常夜灯(奥)から移された火をささげ持つ髙桒輪番(右)=京都市の東本願寺

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