大分トリニータ 長沢駿 復活ゴールで巻き返しの予感 【大分県】

長いリーグ戦も残り10試合となった。後半戦は思うように勝ち点を積み上げることができずに苦しむ大分トリニータだが、下平隆宏監督は「9月の5試合は今季の命運を懸けた戦いになる」と語った。現在14勝7分11敗、勝ち点49、6位の大分は、3日に勝ち点50で5位の長崎、その翌週は勝ち点47で9位の甲府と対戦する。どちらも昇格を争うチームとの直接対決で、着実に勝ち点を積み上げたい。その後は徳島、水戸、大宮と続くが、残留争いの渦中にいるチームは死に物狂いだ。厳しい戦いが予想されるが、取りこぼしは許されない。

これからの試合は「1試合1試合の重みが増す。勝負にこだわらなければいけない」と強い思いを示したのは長沢駿。今季は体調不良に悩まされ、「このまま引退するんじゃないか」と追い詰められた時期もあった。「自分と向き合いたい」と申し出て、チームを離れ治療に専念した。前節(8月26日)の仙台戦で今季初得点を決めて、「支えてくれた方々が僕を蘇らせてくれた」と復活。得点力に悩むチームに、待望のストライカーの復帰は心強い。

コンディションが上がってきた長沢駿

192cmの長身は空中戦で負けることはなく、復活を祝った得点は得意のヘディングで決めた。常にゴールへの道筋を逆算し、相手と駆け引きする。仙台戦の得点は、「これぞ長沢駿」(下平監督)だった。クロスに対し、相手がボールを見た瞬間に視野から外れ、すぐさま前に出てマーカーを置き去りにして頭で合わせる。味方には「俺が見えたら迷わずクロスを上げてくれ」と要求するのは、絶対的な自信とゴールの形を持っているからだ。

長沢が常々口にする言葉がある。「得点で結果を見せないと信頼を得ることはできない」。随分と時間はかかったが、今季初得点で存在を示した。「残り10試合ある。自動昇格のチャンスはまだまだある。ここからひっくり返したら最高でしょ」と表情は柔らかく、声に楽しげな響きが混じる。

プロ17年目、酸いも甘いも知るベテランは、プロとして培った哲学がある。「必ずしも努力すれば報われる世界ではないが、報われるまで努力することができる」というもの。「僕には、まだまだやらないといけないことがある。得点してチームを勝利に導く」。ベテランストライカーの逆襲が始まる。

「ラスト10試合が楽しみ」と語った

(柚野真也)

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