別府市からウクライナへ車椅子贈り支援 NPOと社会福祉協議会が連携【大分県】

ウクライナに贈る車椅子を積み込むNPO法人「ビューティフル・ワールド」の(左から)小野一馬さん、山口英文さん=別府市上田の湯町の市社会福祉協議会

 【別府】別府市田の湯町のNPO法人「ビューティフル・ワールド」と市社会福祉協議会が連携し、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナへ車椅子を贈った。市社協に余っていた10台を南部ヘルソンへ輸送している。現地での受け渡しの事前調整は市内で暮らす避難民カップルが担った。別府発の善意の結晶を負傷兵、障害者らに役立ててもらえればと願う。

 25日、市社協(上田の湯町)の玄関前で関係者が車に積み込んだ。計画では、支援物資を送る企業(兵庫県たつの市)の船便に載せてもらう。到着まで数カ月かかる見込み。

 別府市社協は普段、市民らを対象に車椅子を貸し出しており、在庫が十分ある。旧式などの処分を検討していたことから今回、無償提供を決めた。これまでも市内の避難民に生活用品などを贈ってきた。

 ビューティフル・ワールドは旧ソビエト連邦構成国の障害者支援に携わってきた。ウクライナが侵攻を受けた後は日本での避難生活をサポート。現地に物資を届けるのは今回が初めて。

 現地では支援物資が横流しされる事態も起きており、必要としている人に確実に届ける手段の確保が課題だったという。市内で避難生活を送るオレクサンドル・ロボフさん(42)とオレーナ・コロレンコさん(35)が、現地の支援団体との間をつないだ。2人はヘルソン出身。

 ビューティフル・ワールドの小野一馬さん(37)、山口英文さん(60)は「避難民の力がなければ実現しなかった。託された母国への思いも届けたい」。市社協の高橋修司事務局長(64)は「使われずに眠っていた車椅子の有効活用になる」と話した。

© 有限会社大分合同新聞社