テーマは “災害級の自然現象が起きても生き延びる” 土砂災害の記憶と教訓伝える「伝承館」 防災拠点としても期待 広島市

9年前に起きた「広島土砂災害」の教訓や知識を伝承する施設が1日、オープンしました。

広島市安佐南区八木地区に開館した「豪雨災害伝承館」です。この地区は、2014年8月20日の災害で土石流が発生し、犠牲者が集中しました。伝承館は、災害の記憶や教訓を伝え続けていこうと地元から広島市に提言したことがきっかけで誕生しました。地域住民も運営に携わります。

広島市豪雨災害伝承館 高岡正文 館長
「正直なところ、ようやくこの日が来たなと。災害級の自然現象が起こっても命を守って生き延びるがメインテーマです」

2階の展示エリアには被災者の体験談の映像や、当時の土石流の状況を伝える映像や写真が並びます。

1階部分には最大120人を収容できる研修室が設置され、学校や防災組織の研修などに利用されます。研修室は避難所としても想定されています。

RCCウェザーセンター 近藤志保 気象予報士
「伝承館の入り横口にある自動販売機の中の飲み物や食べ物は、災害時には無料で提供されるということです」

ふだんは通常の自動販売機として利用される「衛生用品備蓄自動販売機」です。自動販売機には広島市の防災サイトへアクセスするQRコードが示されています。さらに隣りには簡易トイレやマスクなどの衛生用品が備蓄されています。災害時には飲料水などとともに被災した人へ無料で配布するなど迅速に対応できるようになっています。地域の防災力を高めるため、アース製薬が広島市と包括的連携協定を結んで、中四国で初めて設置しました。

八木地区にできた「伝承館」は、災害の記憶を伝えるだけでなく、新たな防災拠点としても期待されています。

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