おこしやす京都AC、異色のサッカー分析官が番狂わせを解説 「伝えるのは情報の1割以下」

情報の取捨選択の重要性を語る龍岡さん(京都府宇治田原町・維孝館中)

 関西サッカーリーグ1部のおこしやす京都ACで戦術分析官を務める龍岡歩さん(43)を講師に招いた教員向け研修が、京都府宇治田原町の維孝館中学校であった。2021年の天皇杯で、Jリーグ5部相当のチームがJ1のサンフレッチェ広島に5対1で勝った試合について解説し、情報分析や戦術立案の裏側を語った。

 競技未経験の龍岡さんは、サッカーショップ店長や戦術ブロガーを経て、Jリーグチームの分析官に抜てきされた異色の経歴を持つ。

 龍岡さんは天皇杯の試合について「無失点で耐えれば、時間が進むほど余裕が生まれる。逆に相手は焦りからミスをする可能性がある」と、広島の優位を逆手に取って勝機を探ったと明かした。相手がセカンドチームの編成で、守備に不慣れな選手を起用するとの事前の分析を基に、相手陣内でプレーをさせて失点を防ぎ、選手1人を重点的に攻める「局地戦」を採用した。予想通りの展開に持ち込んで圧勝した経過を、映像を交えて振り返った。

 分析官の仕事については「有益な情報を監督や選手に伝え、勝率を上げるのが役割」とした上で、「伝えるのはインプットした多くの情報の1割以下」と説明した。「ポイントは本当に重要な情報だけを取捨選択し、(監督や選手の)分析の時間を削減すること。いかに少ない情報にまとめられるかが大切」と語った。

 研修は、同町が取り組む「未来挑戦隊チャレンジャー育成PROJECT」の一環で、町教育委員会が主催した。

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