障害者の社会参加支援、大分市「樫の木」設立30周年 10日に記念式典【大分県】

設立30周年を迎えた社会福祉法人樫の木の賀来進理事長=大分市牧
紙すきの作業をする利用者=大分市牧の社会福祉法人樫の木

 【大分】大分市牧の社会福祉法人「樫の木」(賀来進理事長)が8月で設立30周年を迎えた。1993年に市内で初めての身体障害者通所授産施設(当時)の「ワークスペース樫の木」を開所し、障害者が働く場所をつくった。今月10日には同市大津町の県総合社会福祉会館で記念式典がある。

 設立のきっかけは85年、障害者とボランティアが一緒に旅を楽しむ列車「ひまわり号」での出会い。車椅子利用者で昨年9月にがんで亡くなった吉田春美さん(享年69)=樫の木元理事=も当時、乗車した。「社会に出たい」という強い思いがボランティアらを動かした。

 障害者の社会参加を支援する活動が始まり、93年1月に社会福祉法人として認可された。同年8月にワークスペース樫の木を開所。現在は知的や精神を含めた障害者全般を対象に、就労継続支援B型作業所やグループホーム、ヘルパーステーションなどを幅広く運営している。

 利用者は市内を中心とした10~70代の約60人。アルミ缶のリサイクルや紙すき作業、EM菌(有用微生物群)を使った肥料や培養液などの商品作りに取り組む。25年間、通っている車椅子利用者の女性(46)=大分市=は「みんながいるから楽しい」と笑顔を見せる。

 賀来理事長(75)、広石嘉智施設長(48)は「利用者は働くことで社会の役に立ちたい、必要とされたいと思っている。今後もやりがいを感じ、安心して利用できる場所を提供していきたい」と話した。

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