元メジャーリーガー山口俊さん、父の味を〝継投〟 東京でちゃんこ店経営、大分の郷土料理も【大分県】

飲食店のオーナーとして第二の人生をスタートさせた山口俊さん=東京都港区六本木
野球選手時代は投手として活躍。大リーグでもプレーした=2020年8月(AP=共同)

 【東京支社】プロ野球や米大リーグで投手として活躍し、3月に現役を引退した山口俊さん(36)=中津市中殿町出身、東京都在住=が、都心の港区六本木でちゃんこ店「TANIARASHI(たにあらし)」を経営している。幕内力士だった父・久(ひさし)さん(故人)の味を受け継ぎ、とり天などの郷土料理も出している。「大分の味を東京に紹介したい」と第二の人生に意欲を燃やしている。

 山口さんは柳ケ浦高時代、甲子園に2度出場した。2005年、横浜ベイスターズ(当時)に入団。17年に巨人へ移籍し、19年には最多勝、最多奪三振、最高勝率の投手三冠に輝いた。20年、トロント・ブルージェイズに入り、メジャーのマウンドに上がった。21年に巨人へ復帰し、翌年までプレーした。

 華やかな戦績を上げる一方、故障やプライベートのトラブルもあった。大リーグ挑戦は慣れない環境の中で新型コロナウイルス禍に苦しんだ。

 「自分自身、なぜ今、なぜこうなる、と思うことも多かった。目の前に壁が現れるたびに負けん気で乗り越えてきた。反骨精神というか、頑固で意地っ張りなんです」と振り返った。

 もともと食べることが好きだった。調味料や料理法にも興味があり、かねてから飲食店を開こうと思っていたという。父のしこ名「谷嵐」にちなんで店名を付けた。

 店の料理人は、地元・中津市で父から兄が引き継いだちゃんこ店に入り、1年間修業した。鍋料理は同じだしを使っている。九州仕立ての甘いしょうゆや、だしをしっかり利かせたとり天の酢じょうゆなど、他店にないこだわりが好評を得ている。

 飲食店がひしめく六本木ながら、落ちついたエリアにある。カウンター8席、テーブルが2卓、個室が一つ。野球選手時代のファンや関係者をはじめ、口コミで訪れる食通も多く、盛況だ。

 山口さんは大きな体に柔和な笑顔で店に立つ。「正直に言えば、40歳まで現役を続けたかった。これからはこの世界で頑張っていきたい」と話している。

© 有限会社大分合同新聞社