木星の天体衝突撮った 小松・73歳大杉さん

屋根が開く観測室で、閃光の撮影を振り返る大杉さん=小松市吉竹町

  ●閃光、1.5秒映る、能登町・満天星「個人で珍しい」

 小松市吉竹町のアマチュア天文家、大杉忠夫さん(73)は3日までに、木星に隕石(いんせき)など小天体が衝突した際に生じたとみられる閃光(せんこう)を、動画で撮影した。能登町の県柳田星の観察館「満天星」によると、同様の現象を個人で撮影したのは珍しい。大杉さんは「長年観察していて初めて。ラッキーだった」と笑顔を見せている。

 撮影は8月29日午前1時45分。大杉さんは同1時半~4時、自宅2階テラスの観測室から直径300ミリの反射望遠鏡で木星を狙い、1本100~110秒の動画十数本を撮っていた。撮影後に交流サイト(SNS)で閃光観測の情報が広がり、大杉さんが確認すると、1本に1.5秒間、閃光が映っていた。

 満天星の宇佐美拓也学芸員(36)によると、同じ日時に全国で木星の閃光が観測されたものの「衝突は予測できないため撮影が難しい」という。大杉さんは京大から要請を受けて動画を提供し、動画サイト「ユーチューブ」に投稿した。

 大杉さんは天体観測歴58年を数え、全国のアマチュア天文家でつくる「てんとう虫天文同好会」の代表を務める。「木星の模様は毎日のように変わる」と観測を楽しみながら、撮影した写真や情報を研究者に提供し続けているという。

 今回の撮影について大杉さんは「閃光の5秒前に撮影を止め、取り損ねたという仲間もいた。私はタイミングが良かった」と喜んだ。

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