架空請求詐欺が急増 県警23年上半期まとめ 件数7倍、額膨らみ6500万円

 有料サイトの利用料金など架空の内容を口実にお金や電子マネーをだまし取る「架空料金請求詐欺」が栃木県内で急増している。県警が今年上半期(1~6月)に認知した特殊詐欺46件のうち手口別で最多の15件に上り、前年同期の2件から7倍超に増えた。電子マネーなどをだまし取るため、被害者から現金を受け取る役目の必要がなく、摘発につながりにくい面が増加の背景にあるとみられる。

 県警によると、上半期の特殊詐欺全体の認知件数は46件で、前年同期比で33件減少した。一方、被害総額は計約2億1989万円で約7883万円増えた。このうち架空料金請求詐欺は計約6493万円で約5751万円増加し、被害総額を押し上げた。

 手口別の被害件数は、架空料金請求詐欺に次いで「おれおれ詐欺」が目立ち、25件減の14件。キャッシュカードを別のカード類とすり替える「キャッシュカード詐欺盗」は14件減の9件、「還付金詐欺」は1件増の4件、キャッシュカードや通帳などをだまし取る「預貯金詐欺」は10件減の2件などと続いた。

 増加傾向の架空料金請求詐欺の典型的な手口では、パソコンやスマートフォンの画面に「ウイルスに感染した」などのメッセージが届く。問い合わせ先の番号に電話をかけると、ウイルス感染対策や未払い料金などの口実で電子マネーの購入を求められ、インターネットなどを使って現金をだまし取られることが多い。

 おれおれ詐欺の場合、現金の受け取り役の「受け子」が被害者宅などを訪れるケースで、被害者が警察と連携する「だまされたふり作戦」などが奏功し、摘発が増えた。一方、架空料金請求詐欺では被害者と接する必要がなく、捜査関係者は「容疑者までたどり着くのが難しい」と明かす。

 上半期の全体の摘発件数は65件減の40件。摘発人員は9人減の20人で、うち4人が実行犯、16人は通帳や口座、携帯電話を譲り渡すなどの助長犯だった。

 県警は防犯機能付き電話機の普及促進や、家庭へ注意喚起の電話をかけるコールセンター事業の推進などに注力している。担当者は「身に覚えのない請求や怪しいメッセージが届いた場合には一人で判断せず、すぐに相談してほしい」と呼びかけている。

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