複数ポジションをこなす万能型レフティ!神戸新加入のハンガリー代表MFバーリント・ヴェーチェイの実力とは

今月2日に完全移籍でJ1ヴィッセル神戸に加入したハンガリー代表MFバーリント・ヴェーチェイは、Jリーグ史上初めてのハンガリー人選手となった。

先月19日のJ1第24節柏レイソル戦において主力MF齊藤未月が全治1年の大ケガを負ってことで、代わりとなる中盤のハードワーカーが求められていた。

そこでバーリントに白羽の矢が立ったと見られるが、加入までに噂話が1つもなく決まったステルス移籍で決まった実力者のため、バロ(バーリントの愛称)の実力はベールに隠されている状況だ。

神戸の中盤に加わったハンガリー代表の実力をひも解く。

万能型レフティーのプレースタイル

筆者がプレー動画で見た印象では攻撃、守備両面で優れたクオリティを発揮できる万能型レフティーと感じた。

攻撃面では左足から放たれるミドルシュートは球威があり、精度もかなり高い。そして左利き選手では珍しく、器用に右足でシュートを打てる。パスについてはふんわりとした軌道のロブパス、鋭いグラウンダーのパスを打ち分ける。2列目の飛び出しやヘディングシュートも強烈だ。

守備については永井秀樹スポーツダイレクター(SD)が「ボランチ、アンカーのところで期待している」と評価するように、優れた数値を出している。

Sofascoreによると、今年3月28日に開催された欧州選手権予選ブルガリア戦のデータではインターセプトが1回成功、タックルが6回成功と極めて高い数値を出している(今月3日行われたJ1第26節ホーム京都サンガF.C.戦での山口蛍がインターセプト4回成功、タックル1回成功)。

1対1の地上戦デュエル勝率は14回中8回勝利と優れているが、一方で空中戦デュエル勝率は3回中1回勝利と空中戦は、苦手なのかもしれない。

高身長かつフィジカル強度も高いブルガリア代表相手に、優れた数値を記録したので、Jリーグでは前述したデータより高い数値を期待できそうだ。

広範囲をカバーできる守備力に、攻撃に転じれば推進力のあるスプリントもあるため、身長185センチと高身長選手でありながら機動力にもある程度期待できる。

CBからWGまでこなせるマルチロール

そしてバーリントの秀でた面で、複数ポジションをこなすユーティリティ性も見逃せない。

transfermarktによると、これまで9ポジションをこなしたという。中盤だけに限らず、センターバック、両サイドのウイングからシャドーまでこなしてきたというのだから驚きだ。

一方でバーリントのプレー集動画を視聴した一部の神戸サポーターは、彼を攻撃的な選手と認識しているようだ。ただ年齢を重ねるごとに守備的なポジションへとシフトしている傾向にある。

昨季は17試合セントラルミッドフィールダーを務め、攻撃的ミッドフィールダーは4試合、センターバックは1試合と守備側のポジションを多くこなしていた。

永井SDも守備に特徴があると期待しているように、守る力は前述したように数値を見れば明らかだ。

ウイングで培った推進力、攻撃的MFで見せる左足からのチャンスメイク、センターバックでの守備力とビルドアップ、と守備的MFで出場しても幅が広い選択ができそうだ。

筆者の主観としては、左利きのMF小林祐希(現J1北海道コンサドーレ札幌)とMF橋本拳人(スペイン2部ウエスカ)を足して2で割ったような印象を受けた。

バロが神戸で求められる役割

バーリントが神戸で求められる役割は、今月3日の入団会見で永井SDが明かしている。

バロ

に関しては、(齊藤と)同じポジションでハンガリーリーグでも、ボール奪取率、シュートブロック率、デュエル勝率、かなり高い数値と素晴らしいものがありますので、ボランチ、アンカーのところでの貢献を期待しております。

長期離脱中の齊藤の代わりとして白羽の矢が立ったと思われるが、バーリントが期待されているタスクは、さらに上の次元を求められていると推察する。

国内外の一部報道で橋本拳人の獲得報道が出たように、神戸は橋本の動向を追っていた。そのためバーリントは橋本が務めていたタスクも求められている可能性がある。

実際に6月14日に投稿された西大伍(J3いわてグルージャ盛岡)のYouTubeチャンネル動画内で小林祐希が吉田孝行監督から「橋本拳人のようなプレーをしてくれ」という内容の指示を受けたと明かしている。

そのため齊藤が託されてきた運動量を生かした守備タスクと、橋本がこなしてきたフィジカルを駆使した守備タスクをバーリントが担う可能性もある。

橋本が神戸から退団する直前の2試合はアンカーとして出場していたため、永井SDが期待するようにアンカーを務める場合もあるだろう。

左利きの選手であるため、同じビジョンを描ける左利きのMFフアン・マタやDF本多勇喜との連係も期待できる。ただ残り8試合と時間が限られており、コンディション面の問題や空中戦の勝率が低い点など懸念点は複数ある。

それでも、イタリア1部ボローニャ、スイスの強豪ルガーノ、ハンガリー屈指の名門フェレンツヴァーロシュで所属してきた実績と優れたデータがあるため、実力は間違いないだろう。

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