「『PayPay使えますか?』という話が増えた」売り上げ昨年比280%アップの店も 静岡市の最大10%還元キャンペーン 予定より2か月早く終了へ

静岡市は現在、実施しているキャッシュレス決済「PayPay」のポイントを最大10%還元するキャンペーンについて、予算の上限額に達する見込みが早まったため、9月8日に終了すると発表しました。物価高騰で消費が落ち込む中、地域経済の起爆剤となったのでしょうか。

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静岡市葵区に2022年2月にオープンしたイタリアンレストラン「レストランダイニングBolo」。1番人気は「トマトスープパスタ」です。

静岡市が8月1日から始めた「PayPay」での支払いで最大10%還元されるキャンペーン。期間中、特に30代前半の女性客が増え、全体の売り上げを押し上げたといいます。

<レストランダイニングBolo 村上建司店長>
「お問い合わせで『PayPay使えますか?』という話が増えた。前月比で110~115%(売上が)そこは増えてる部分です」

一方で、静岡市はキャンペーンの期間を当初、8月1日から10月31日までとしていましたが、予算額に到達するペースが予想より大幅に早まっているとして、約2か月早い9月8日に終了すると発表しました。

<静岡市産業政策課 小野田 葵主任主事>
「新型コロナウイルス感染症が、感染症法上の5類に分類されてから初めての開催。前回ではなかった、居酒屋、レジャーといったところの利用が非常に伸びた印象」

静岡市は、6億8000万円の予算を投じた還元キャンペーンによって、喚起された消費額は約70億円に上ると見込んでいます。このキャンペーンの効果は宿泊施設にも。

<中島屋グランドホテル 折井成彦営業部次長>
「宿泊からレストランのご利用まで、非常に多くのお客さんに利用いただけた」

静岡市葵区の中島屋グランドホテルでは、8月の宿泊の売り上げが2022年に比べて1.6倍にアップしました。さらに、レストランでは。

<中島屋グランドホテル 折井成彦営業部次長>
「レストランにおいてもPayPayの利用率だけでみますと、昨年対比で280%。新たなお客様のご利用もあったのではないかと感じています」

お客さんもキャンペーンの終了に残念な様子です。

<客>
「戻ってきた。だけど、8日までになっちゃった。残念だよ。どんどん使おうと思って。静岡市のためだし。飲食店のためだし。商店のためだし」

一方で、課題もありました。恩恵を受けたのは、PayPayアプリ利用者と静岡市内の約1万の対象店舗に限られます。

<静岡市産業政策課 小野田 葵主任主事>
Q.また還元キャンペーンはありそうですか?
「国の交付金財源に限りはありますので、ほかにもいろんなことで困っている市民もいらっしゃるので、優先順位もつけながら、静岡市内の経済状況も見ていきながら、いろいろ検討していければ」

静岡市は、PayPay還元キャンペーンの早期終了を受け、10月に開始する予定だった商店街や商業者団体が10~20%還元するクーポン事業を前倒して、9月から順次、スタートする予定です。

また、静岡経済研究所の恒友仁専務理事は、コロナ交付金を使った消費者還元施策について「キャンペーン期間中は消費が盛り上がるが、終わると落ち込む。事業者が従業員の賃上げにつなげられるような、中長期的な施策が必要」だと話しています。

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