9歳打ち手、土俵盛り上げ 唐戸山神事相撲、熱戦の合図

干場さん(右)から太鼓演奏の技を教わる東君=羽咋市羽咋公民館

  ●羽咋・東君、25日に奉納太鼓デビュー 2000年の歴史で最年少

 25日に羽咋市で行われる県無形民俗文化財「唐戸山神事相撲」(北國新聞社後援)で、熱戦開始の合図となる奉納太鼓の打ち手の一人として東澄人(すみひと)君(9)=羽咋小3年=がデビューする。打ち手の高齢化と後継の育成を目指し、2年前から太鼓を習い始めた東君の抜擢(ばってき)が決定。2千年以上の歴史を誇る土俵で最年少とみられる。東君は「伝統の相撲を盛り上げたい」とばちさばきの技を磨いている。

 毎年9月25日に行われる神事相撲では、加越能から集まる力士の取組前に「唐戸山神事太鼓保存会」が土俵上で勇壮な太鼓を披露する。60年間運営に携わる唐戸山相撲協会の橋本俊一副会長(83)は「神事太鼓はなくてはならない伝統の一つ」と話す。

 東君は2021年11月、会員である祖母厚子さん(72)=本町=に誘われて保存会に加わり、翌年の神事相撲を初めて観戦。その後、伝統の土俵で演奏したいと、保存会初代会長で太鼓歴62年の干場稔さん(81)らから月2回、きれいな音の出し方やリズムの取り方を教わっている。

 保存会は1962年に市民有志で設立し、現在は東君を含めて男性9人、女性6人が所属する。神事相撲では土俵上で5、6人が息を合わせた太鼓を披露している。ただ、女性は土俵入りできず、男性メンバーも高齢となってきたことなどを考慮し、めきめきと腕を上げる東君が参加することになった。

 干場さんは「太鼓歴2年で土俵に立つのは異例。将来は保存会を担ってほしい」と期待する。

  ●「熱戦を後押し」

 唐戸山神事相撲は「水なし、塩なし、まったなし」で知られ、今年は4年ぶりに中高大生や社会人による協賛相撲が復活する。3日も羽咋公民館で練習を重ねた東君は「気合を入れて太鼓をたたき、熱戦を後押ししたい」と意気込んでいる。

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