富久千代酒造100周年パーティー 苦境越え「鍋島」で飛躍

富久千代酒造の創業100周年を祝う関係者=福岡市のザ・リッツ・カールトン福岡

 「鍋島」で知られる富久千代酒造(飯盛直喜社長、鹿島市)の創業100周年を祝うパーティーが8月29日、福岡市のザ・リッツ・カールトン福岡で開かれた。関係者約200人が出席し、鍋島ブランドによって国内外で知名度を高めた同社の節目を祝った。

 同社は1923(大正12)年の創業以来4代にわたってつないできた。戦前、戦後の金属供給で何もなかった時期や、「鍋島」の開発からブランドの一本化、酒税法改正によるディスカウント店への対応など、数々の苦境を地道に乗り越えてきた歩みを映像で紹介した。

 飯盛社長は「酔うためのものだった酒を、日本の文化を楽しむためのものにしようとこだわったのが『鍋島』」と強調。出席者を見渡し「今日は特約店・小売店以外にも農家、瓶、包装資材などいろんな方に来てもらい、思いを共有しながら次の時代につなげていきたい」と感謝を伝えた。

 「鍋島」発売当初から携わってきた山田酒店(佐賀市)の山田晃史店主は「小さな酒蔵と小売店で一歩一歩、鍋島の良さを伝えてきた。飯盛社長は私にとっても恩人」とたたえた。

 富久千代酒造は「千代に栄えて福来たる」の由来で1948年に現在の社名となった。98年に誕生したブランド酒「鍋島」は2011年、国際的なワイン品評会「IWC」に日本酒部門で最高賞のチャンピオン・サケに選ばれ、国内外で高い評価を受けている。(辻正宏)

富久千代酒造の創業100周年であいさつする飯盛直喜社長=福岡市のザ・リッツ・カールトン福岡

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